依羅

オテサーネク 妄想の子供の依羅のレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
5.0
"チェコの民話「オテサーネク(食人木)」を下敷きにした作品"

引用元: https://ja.m.wikipedia.org/wiki/オテサーネク_妄想の子供


あらまぁ……。
『オテサーネク』という民話を知っていたら何も驚くことはないんだろうけど、何も知らずに観たので、中盤から度肝抜かれました。
造形怖すぎ……でもいい感じにキモくて素晴らしい……。


ただ、この作品はモンスターパニックものというより、ヒトコワにかなり重点が置かれていると思う。しかも、しつこいほど良質に。

すっげぇ神経質そうだけど妻のためにと思って"息子"を掘り出したカレル。自身が無精子症ってのは、おそらく当人のプライドに相当な傷がつく要因になってるだろうし、妻へ気苦労をかけている罪悪感もかなりのもんだと思う。だから、最期まで叩っ斬ることもできず、妻に献身してしまったんやろなぁ…。

不妊症ですっかり滅入ってしまっている妻ボジェナは、もう本当に観ていて辛い。
最初、切り株が赤ん坊に見えてしまうほどに精神やられてんのかと思ったけど、まさかソレが"ホンモノ"だったとは。
もちろんメンタルずたずたなのは間違いないだろうけど。

この二人の狂気が静謐で、それがまた恐ろしい。


もう一方のヒトコワがアルジュビェトカ。
弟妹が欲しかった彼女の無垢な優しさと好奇心がこえーのなんの。
小せえ頃って多かれ少なかれ、似たようなことがあったよなぁ。
The・鈍感って感じで生活に辟易している親父も、終盤パラノイアにも似た状態に陥ってしまう母ちゃんも、それぞれ怖かったです、はい。
そりゃそうなるとは思うけど…。


この作品に小児性愛者の爺さんを入れたのは正解だったんじゃないかな。
ただでさえずっと不快なのに、この爺さんが登場することで、ある種のスパイスとしての作用が働いていたように思うから。


果たして、管理人さんはオチークをかっ捌けたんでしょうか。明らかにならず、アルジュビェトカの語りで終わるの大変良かったです。

超キモくて胸焼けしてサイコーでした。
依羅

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