依羅

ダークナイトの依羅のレビュー・感想・評価

ダークナイト(2008年製作の映画)
5.0
前作に引き続き、バットマンのカッコよさは健在ではあるんだけど、今作の主演は紛うことなくヒース・レジャーのジョーカー。
ノーランもそのつもりで作ってるやろ絶対…。

バリー、レト、ニコルソン、ホアキンと、バットマン同様たくさんの名優が演じてきた凶悪ヴィランのジョーカー。
ホアキン版はかなり強いけど、やはりヒース・レジャーのジョーカーは一線を画している。
この男が発する言葉の全てが信用ならず、何がしたいのかも不明瞭。平穏が我慢ならないことだけは伝わってくるけど、そこに苛立ちや不満のような人間らしい感情も見えず。
ただただカオスを楽しみたいだけの存在として、もはや人外の何かにしか見えない、シン・ジョーカーです。彼は。
腕っぷしがそれなりに強く、冷徹に計画を練られる頭のキレがある点、かなり怖い。


彼が暗躍する一方、マローニを筆頭とするマフィアたちもなかなか厄介だが、そこに颯爽と現れた"光の騎士"ハービー。
判事や市警本部長が死に追いやられる中、ハービーとゴードン、そしてブルースの協力で事態は収束に向かうかに…なんてことはなく。
ゴードンが倒れ、ブルースはレイチェルの死に打ちひしがれ、ハービーは闇に堕ちてしまう。
ここまで、一切のグダリなく、何ならずっと山場が続くため、息もつかせぬ状態で魅入ってしまう。

ダークナイトが最高傑作たる所以はそこにあるんじゃないかな。


ゴッサムの民意がジョーカーに勝っても、ハービーがトゥーフェイスと化してしまったことが世に漏れたら、全てが無に帰す。
結局はジョーカーの思うがままになってしまうことを防ぐべく、光の騎士と暗黒の騎士という御伽噺でお茶を濁さざるを得なかったブルースとゴードンの心中たるや…。

決してハッピーエンドではないけれど、今作のあまりの質の良さに何度観ても感涙してしまう。

本当にサイコーです。
依羅

依羅