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ゲド戦記のaのレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
2.5
魔法のある世界にも関わらず、主人公への救済として直接的に魔法が使われない作品は、私にとっては目新しくとても驚いた。
ただ、あと一歩で好きな作品だと思いそうな雰囲気を感じながら、その一歩を超える事ができないまま終わってしまった。
世界観が好きだったからこそ、十分に理解できないまま終わってしまい、とても残念だった。

まずは、どの場面を切り取っても美しい風景で、まるで美術館で風景画を見ているような高揚感を感じた。
人身売買や麻薬、下劣な噂話など世界に溢れている汚い部分が「美しい」世界の中に描かれるからこそ、その汚さが強調されてとても強い印象に残った。
だからこそ、もう少し深掘りしてほしかった。恐らくアレンがクモに飲まされた物は麻薬を液体状にした物だが、複数回使用しなかったから大きな影響は無かったと言われれば納得するしかない。
だが、主人公は麻薬を口にしても本人が吐くほど嫌悪感を示した「廃人」にはならないんだと残念(?)に思ったのは仕方ないだろう。

ここからは、もう私に理解力がなかった事を悲しむしかないのだが、特に分からなかった点が4点あった。

1つ目、冒頭で戦っていた竜は何だったのか?
突然竜が人間の世界に来てしまったと言っていたが、少なくとも5年前には既にテルーが来ていないか?
というか、テルーは何故親に虐げられたのか?テルーの親も竜なのか?じゃあ、冒頭の竜も親子?竜の親に虐げられると人間嫌いになるのか?それでもテルーは人間の世界で生き続けるのか?
とても残念だが、私は「竜」という存在について何も理解できなかった。

2つ目、結局災害の一番の原因はクモの暴走という事でいいのだろうか?
人間の欲で均衡が崩れると言っていたが、最近多発していた災害に関しては、人類が悪いのかクモが悪いのか、よく分からなかった。

3つ目、ハイタカとテナーを最も屈辱的な方法で処刑すると言っていたが、間違いなく非人道的だとしても「愛する人に背中を押される事」がそれに値するのか?
奴隷を売買して「生」に拘り続ける、忘れられない屈辱的な敗北を味わった魔法使いが、最も恨んでいる人物に対して思いつく極刑がアレになるだろうか?
制作陣の中で誰があの刑罰を考えたのか、何故アレが「最も屈辱的」なのか、本当に教えてほしい。

4つ目、ラストで世界は好転していたのか?
複数の竜が空を飛んでいたという事は、世界の秩序は乱れたままという事だろうか?
というか、アレンは「罪を償う」と言いながら笑顔で国へ向かったが、国王が生きていて剣が抜けた事を説明できなければ、国王暗殺の犯人として重い厳罰は免れないだろう。
ラストシーンでは「次期国王の風格」のような物をアレンから感じたが、彼は国王になれるのだろうか?何故彼は笑っていたのか?重い刑罰すらも受け入れているのだろうか?

あとはもう、簡単な感想を箇条書きで残したいと思う。
・アレン声が小さすぎる。字幕がなければ混乱していただろう。
・クモの最終形態が怖すぎる。子供の頃に見ていたら確実にトラウマに残っていた。
・ウサギが噛ませ犬すぎる。ナウシカのクロトワのような「かっこいい」二面性がほしかった。
・本当に申し訳がないが、全体的に厨二感を感じてしまった。「私を怒らせない方がいいよ。普段は大人しいって思われてるけど、無意識の内にヤンキーが私の周りに血だらけで倒れてた事あるから(暗黒微笑)」のような?

私の理解力がなく、上記の疑問等が残ったままだったので、最後は「終わったの?!」と思ってしまった。
あくまで、映画や小説等に詳しくない私の感想でしかないが、視聴後の印象としては「外国風もののけ姫-ナウシカと千と千尋を添えて-」という感じだった。
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