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コクリコ坂からのaのレビュー・感想・評価

コクリコ坂から(2011年製作の映画)
3.2
公開当時、海世代の横浜出身祖母と観に行って、まだ幼かった私は内容はよく理解できなかったが、祖母が興奮したように「あ、あの道!知ってる道!すごいねぇ、おばあちゃんが通ってた場所だよ。この絵を描いた人もあの道使ってたのかな?」「あそこはおじいちゃんとデートした所だよ」と話してくれた事が、今でも強く印象に残っている。

内容に関しては、大人になってから観ると、こんなに青春映画だったんだと分かり少し驚いた。
まず、カルチェラタンは何て魅力的な場所なんだろうか。私も大学時代、友人と関心のある分野を閉門の時間まで話し合ったり、署名活動等に参加して大学に学生の意見を示したりした。今ではもう時間も気力も十分に無い為できないであろうその経験は、私にとってとても大切な思い出として残っている。
きっと、作品の学生達にとっても、各々が関心を持つ分野を仲間と語り尽くせる空間があったという事が、将来大きな財産になるのだろう。
掃除に来たボランティアの女学生も含めて、全員が一丸となって一つの目標に向けて活動する姿が、とても魅力的で輝いて見えた。

また、恋愛のシーンに関しては、まずは少し大人びている二人の青春に可愛らしさを感じていた。
しかし、半ばでは「ジブリで近親婚はキツくないか?」と思っていたのに、二人が「血が繋がっていても…」と発言した事で、あまりに攻め過ぎではないかとソワソワしてしまった。
ただ、結末は想像していたよりもずっと綺麗な形だった為、単純に物語の内容としても作品の纏め方としても、とても感動した。

多くの無償労働を担い大人びている少女が、今まであまり関心のなかった学校で起きる出来事に足を踏み入れてから、徐々に「高校生らしい」顔になって行く様子がとても可愛らしく、安心した。
その為、お母様も帰って来て、蟠りも無くなった今、医者になる等自分の将来に向けて「高校生らしく」幸せな日々を過ごしてほしいなと思った。
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