高澤奏

ストーカーの高澤奏のレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
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頭のいいおっさん3人による、朝まで徹底生討論会。

水、廃墟、草。未知の道具を使わずして、異次元的な画作りをしてしまうタルコフスキーは神そのもの。

宇宙人だか隕石だかの影響で突然現れた「ゾーン」。
立入禁止区域となっており、誰も立ち入る事が許されない。
しかしその「ゾーン」の中には「望みが叶う部屋」があると言われている。噂を耳にしたインテリおっさん2人は、その部屋まで案内することができる「ストーカー」と呼ばれるおっさんに頼み込み、「ゾーン」へと侵入する。
そんな御話。

とにかくこのインテリおっさん2人のインテリ口喧嘩が面白い。作家と物理学者の教授なだけにお互い一歩も引かず、中盤のお昼寝タイムでも寝ながら口論し続ける2人。そのまま夢の中でも喧嘩しててほしい。

3人のおっさんが目的地まで歩いて行く移動手段もシュール。何かしらを投げ、その着地した場所が安全かどうかを確かめ、1人ずつその場所に歩いて行く。おっさん3人が昔を懐かしみ遊んでるようにしか思えない光景が長い事続く。
俺も木の棒を勇者の剣に見立て、見えない敵に向かってブンブン振り回していた少年時代を思い出した。「そういやあの頃の俺は、望んだもの全てが信じるだけで叶っていたな」。なんて気付けば俺もカメラに向かって独白しちゃってる始末。赤面の至り。

結局いくら討論しても最後まで核心に迫る事は無いが、
それこそがこの映画の核心なのかもしれない。
ラストの少女が起こす奇跡を見て、そう確信した。
高澤奏

高澤奏