高澤奏

シン・ウルトラマンの高澤奏のレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
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子供の頃、
ウルトラマンの人形を風呂場や墓場で戦わせていたぐらいの、
そこまで知識がある訳でもない俺のリアルな感想をここに記す。

・OP。
ウルトラQのオマージュで、
怪獣と人類の歴史をダイジェストで見せてくれる。これがまた
凄まじい早さで、観客が文字を見落とす事など気にしていないところがいい。
観客への信頼がなければ、あんな編集はまず出来ない。
オッス、オラ庵野!と高らかに自己紹介をして映画ははじまった。

・戦闘シーン。
オリジナルではウルトラマンのスーツを着た生身の人間が、ぬいぐるみの怪獣と泥臭く戦うプロレスのようなものであったが、今回はウルトラマンも怪獣もフルCGだ。そのため、実写ではまず見れない縦横無尽な戦いを見ることが出来る。
そして、動きに一切の無駄がない。
無駄の無い動きは通常、殺人ロボットのような、無機質さや、シュールさを感じさせてしまうものだが、このウルトラマンにはちゃんと生命までも感じる。
背中にファスナーは無いが、しっかりと生身の人間が中に入っている事を確認できる。
初代ウルトラマンのスーツアクター古谷敏さんのモーションキャプチャーデータを元にしているらしいが、それもあって俺はあのウルトラマンに魂を感じたのかもしれない。

・外星人。
知的な外星人メフィラスの魅力に
心を奪われた人間も沢山いるんじゃないだろうか。ゾーフィの存在があったにせよ、
対話による平和的解決で、決着を瞬時に放棄できる頭の良さは
地球人であれば尚更、憧れを抱くものだ。
決着も割り勘にしてくれたメフィラスに二重の意味で乾杯(完敗)だ。

そして、そのすぐあとに
対話など出来ない
ゼットンという圧倒的脅威が立ちはだかるのは、憎い構成だと思った。
ウルトラマンでも倒せない
ゼットンは、太刀打ち出来ないザ・自然災害のように描かれ、政府は戦いを放棄し、国民には何も知らせず、何も知らないまま終わることの方が幸せだという結論に落ちつく。
しかし、なんやかんやで結局人類は諦めず
たくさんの叡智を集め、立ち向かうことになる。
ゼットンの前では
人間もウルトラマンも同等であり、
ウルトラマンが人間のように見えてくるし、
人間一人一人がウルトラマンのようにも見えてくる。
この映画やたら、ローアングルで役者を見上げる感じで映しているのも
人間だって視点を変えれば大きなウルトラマンなんだよというメッセージが、込められていたからなんじゃないのかなと思った。


・総評。
ええやん、ええやん。

追伸
YouTubeチャンネルはじめました。
『おやすみなさいちゃんねる。』という名前です。良ければ遊びに来てね。
高澤奏

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