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となりのトトロのaのレビュー・感想・評価

となりのトトロ(1988年製作の映画)
3.3
十何年ぶりに見た。幼少期に見てた時の感覚がきっと今でも残っているのだろう。
私は姉がいて、母曰くメイちゃんのような性格だったらしいので、「お母さん」のように振る舞うお姉ちゃんに蚊帳の外にされる、怒りや悲しみがよく分かる。疾うに成人した今でも、その時の気持ちを思い出して何だか少し遣る瀬無い気持ちになった。
それでも、私もしっかりと大人になっていたようで、サツキちゃんは、かなりの苦悩と葛藤の上で「お母さん」のように振る舞っていたんだと理解した。
幼少期に「どうしてサツキちゃんはメイちゃんにそんな事言うの?!」と思っていた場面も、12歳にしては十分過ぎるほど頑張ってるし、きっと必死な彼女にとっては最善の行動だったんだろうなと思えるようになっていた。

ただ、大人になったからこそ、サツキは周りの大人から「妹の面倒見て偉いね」と褒めてもらいたい!という承認欲求が強いなと感じた。
例えば、学校のシーンでは大声で「妹が来ちゃって」とアピールし、授業に参加する前に注意事項を伝えればよかったのに、トトロの形が分かるくらい横にいた後にメイを注意した。先生をはじめ、多くの同級生の親御さんに褒めてほしく、あのように注目を集めたのではないだろうか。
しかし、お母さんに甘える事ができないどころか、自分が「お母さん」にならなければいけなかった為、そのような承認欲求が強くなってしまうのは当たり前の事だと思う。
だからこそ、サツキが将来的に拗らせないように、周りの大人が彼女の事を優しくしっかりと見守ってほしい。

また、私はサツキとメイのお父さんのような大人になりたい。子供の「空想」を鼻で笑うわけでも適当にあしらうわけでもなく、真剣に話を聞き新しい視点を与えていた。どんな人でも相手を尊重し、自分の意見を棘なく明確に伝える彼のようになれるよう成長しなければと反省した。

トトロは徐々に可愛く見えるようになったが、あんなに大きな生物を初めて見た瞬間は、恐怖の方が勝ってしまうのではないだろうか。私だったら、白いトトロが見えた段階、いや、まっくろくろすけが見えた段階で「あー、疲れすぎてるのかも」と自分の目を疑うと思う。
もう私にはトトロが見えないんだろうな。
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