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もののけ姫のaのレビュー・感想・評価

もののけ姫(1997年製作の映画)
3.6
人間が圧倒的な力を付け自然を征服したと思っても、自然はその何倍もの力で人間を懲らしめる。という、今の私達が日々経験している出来事が、とても美しく神秘的に描かれていた。

自然災害を完全になくす事は無理だろう。ただ、そもそもこれ程の異常気象が起きたのは、人間が見境なく工業化を進めてきたからではないか。
また、今できる事を上げれば、自然災害の被害をなるべく抑える事はできるのではないか。「人災」を「自然災害」の影に隠してはいないだないだろうか。

このように、人間と自然の関係では、エボシは間違いなく「悪」だろう。
一方で、人間と人間の関係では、エボシは間違いなく「善」だろう。

21世紀でも、セックスワーカーや身体障害者は十分な人権が保証されていない。
そのため、室町時代に人身売買された少女や、ハンセン病患者が十分な人権が保証されていなかったのは想像に容易い。

そのような少女や患者をコミュニティの中心に置き、「生きる意味」を提供したタタラ場は、製鉄所としてだけではなく、コミュニティとして高い評価を受けるべきだ。

もちろん、コミュニティとして立派だったら、自然破壊しても良い理由にはならないが、あのタタラ場が無かった世界を想像すると、あそこで生活をしている何百人、何千人の人々は恐らく、苦しみながら息を引き取っていたと思う。
だからこそ、アシタカは「自然と人間の共生」という、一番理想的ながら一番過酷な道を選んだのだろう。
彼の行動力と意思の強さには強く憧れるが、彼の未来を憂いてしまう。


ただ、カヤに貰ったお守りをサンに渡したシーンは、本当に無理だった。
たとえ良いシーンであっても、あのお守りが出てくる度に「でも元カノのじゃん!!」と悲鳴を上げていた。
あの行動に意味があるのは想像できる。ただ、私はカヤの立場でもサンの立場でも、そのアシタカの行動を気持ち悪いと感じると思う。
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