きみ

マリーゴールド・ホテルで会いましょうのきみのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

イギリス人の老人7人が、新生活を試みてインドのジャイプールにあるホテルで暮らすお話。
美しい優雅なホテルで心機一転……のはずが、辿り着いたホテルは写真とは大違いの寂れたホテルだった!

7人の老人たちは年相応にそれぞれの事情を持っていて、キャラクター紹介のように冒頭でインドに赴くにあたったエピソードが描かれる。
それから空港で全員が合流し、すんなりとは行かないインド入国、そして想像とは違うホテル生活が始まります。

年齢的に私はまだ中年ですが、年をとってから抱える問題や悩みなどは、近い将来に予感するものではある。7人もいるので、部分的にせよ、多少なりとも共感できるところがあるかな。
全員が少し癖がある人間なところに、現実のふとした場所を切り取ったような風情がありました。

受け入れる側のホテルにも物語があって、インド人の青年と母親、恋人、その兄……、映画全体、いろんな立場の人の心情を丁寧に見せてくれる。

私的には、人種差別主義者であったドネリーの心が、下働きの不可触民の少女の純粋な言動によって解れていく姿が良かったです。
一生懸命にメイドとして働いて、ある程度の年齢になって放り出されてしまった。自分の存在は、頑張りは、価値は、一体なんだったんだろうという気持ち。当然人種差別主義には反対しますが、ドネリーの気持ちが強張ってしまったその一連の流れには感じ入るものがあって、最後の生き生きとした姿に嬉しくなりました。

ゆったりとした、なかなか良いお話です。
きみ

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