サバイバルファミリーのＳＡＬＴのレビュー・感想・評価

面白かった。自分勝手で互いにに向き合う事をしないバラバラの家族が、鹿児島への道程を通じて心を通わせていく。およそ電気に関するもの一切が使えない（乾電池すらも）という設定はSF的ではあるが、首都圏を脱出したあたりから、その奇妙な設定の中でしか味わえない物語に心地良さを覚え始める。序盤は世紀末的なディストピアが描かれるが、中盤からは農園の牧歌的なユートピア的光景も現れる。田舎暮らし良いねえ。次々訪れる難局は観ていて飽きない。現代人にとっては鹿児島へ行く、というただそれだけの物語が、電気が無くなるだけで、それだけにならない。観ていて色々と考えさせられる心地好い映画だった。
それにしても撮影が全てロケ撮りなのだそう。荒廃した街並みや高速道路などの撮影もあり、映画は地味な印象もあるがかなり大掛かりで豪華な撮影となっている。エキストラとか何人参加したんだろう？