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フォルトゥナータのbirichinaのレビュー・感想・評価

フォルトゥナータ(2017年製作の映画)
3.5
*ネタバレまではしていませんが、ストーリーに触れています。

登場人物がみんなイカれていた。前半では まともと思われた主人公の娘のカウンセリングの医師まで、主人公に一目ぼれし、恋する男に豹変。
主人公は、幼い頃、父親が海でラリッて溺れるのを見殺しにしてしまった自分に負い目を感じて生きている。医師も子ども時代に父親が失踪してしまったという体験が尾を引いている。2人が恋に落ちるのはいいけれど、お気に入りの先生と母親に いわば見捨てられた娘も2人同様、親をなくした子の痛みを感じていることだろう。

ジャスミン トリンカは、たがが外れたシングルマザー(離婚はまだ成立してない)を熱演。コルクソールサンダル、ミニスカート、タンクトップにGジャンの袖を切ったような服、ケバいメイクなどで、あばずれ感が出ていた。短いけれど大胆なセックスシーンや、天使の羽のようなタトゥー入りの後ろ姿を見せて裸で海に入っていくシーンなど、何でもやったるで!という感じだった。(ジェノバのレストランで突然踊り出したり、監督さん、撮りたいシーンを詰め込んだけれどまとまり感がない、という印象も。)

ドメスティックバイオレンスな夫役は「ドッグマン」の暴力的な友達役の俳優。暴力的な役がハマっていた。悪役だが、妻への暴力と嫉妬深さという欠点以外は娘思いだし定職(拳銃を持っているということは警察官か?)にも就いているし、いちばんフツーな人に見えた。(階段を上がりながらの鼻歌、いい声だったが歌手?)

認知症の母親を殺してしまう主人公の幼なじみのタトゥー彫師の青年は、元女優という母親の顔のタトゥーを肩に入れている。世話がかかるが大好きな母親が自分のことを忘れてしまったことにショックを受ける表情を始め、目がきれいだった。
母親役の女優さん、オオヤマサコをずっと美人にした感じで印象的だった。

カウンセラーの先生、8歳の女の子に「ハシゴをかけて壁を乗り越えろ」などという比喩でアドバイスをしてはだめでしょう。

中国人の手に渡ったあと、美容室の名前が「Lucky」から「Lucky Luciana」に変わっていたのは笑えた。

古代のアーチみたいなものがある、今は貧困層が住んでいるらしき場所は、ローマ郊外のTORPIGNATTARAという地区。
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