しとひと

アップグレードのしとひとのレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
3.8
いつかどこかの近未来都市を舞台にした復讐劇。


監督はSAWの脚本を手かげたリー・ワネル。主演はローガン・マーシャル=グリーン(最近だとリドリー・スコットのプロメテウスに出演していた)。


物語前半で全身麻痺に陥った主人公グレイが脊髄にAIチップを埋め込んだことで麻痺を克服。超人的な身体能力を手に入れる。という描写があるのだが、全身麻痺の克服方法が面白い。
身体へ信号を送ることの出来ない代わりにAIチップが身体へ信号を送って動かす。という仕組みなのだが、そこにひと工夫あるのが良い。チップが独立した意識を持っているのだ。グレイからの脳の信号や命令は絶対なのだが、五感から入ってくる情報を処理してその場での最善な行動をグレイへアドバイスしてくる。その悶着がベテランと新人のようなバディ感があって観ていて微笑ましい。
しかし、劇中では人間とAIの差異も冷酷に描写されており、0と1で判断されるデジタル世界の恐ろしさを感じる。
二転三転する物語展開と残虐な描写はSAWの脚本家ならではのサスペンス感。グレイが自分自身の意思で身体を動かしているのかAIが動かしているのかを撮影で差別化しているのも目が楽しい。
音楽も様々なSFから影響を受けている気があり、好みだった。
特にカーチェイスシーンの音楽はアキラでの芸能山城組を感じて興奮してしまった。

細かい突っ込みどころはあれど、十二分に楽しめる脚本の仕掛けと映像的演出のある良い作品。


撮影はステファン・ダスキオ
音楽はジェッド・パーマー
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