愛する人の為に世界を変える今と未来の物語。
受動的なSF好き少年が、未来からやってきた自分に少年の住む世界はシミュレーターの中に再現された仮想の京都であることを告げられることで物語は始まる。
未来人の彼は仮想世界には干渉することができないので、少年にこの先に起こる事件を防いで自分の愛する人を守ってもらうことが目的。仮想現実であっても彼女の笑顔と未来を手に入れたい。
と。
物語の進行は素直でわかりやすい。演出はこれと言った目新しいものは無かったが、感情の盛り上がりと勢いで繋いでいく脚本は良かった。そして何より最後の最後まで見切った時の満足感も個人的には好み。
曲解ではあるが、輪廻転生によって精神が成長したことで世界は変わった。という意味合いにも受け取れ妙な感動があった。
エモーショナルな進行を手伝うのは有名アーティスト達による劇中曲で、DOLBY ATMOSサウンドも採用してることから劇場で観たらもっと高揚感を持って観ることが出来たのだろうなと思った。
残念な点。
この作品、どうやら上映前に様々なメディアミックスを行っていたらしく、外伝もあったらしい。作中にはそれを知る人向けの演出が何箇所か見受けられ、今回それを知らずに見た私には『物語に関連してこないのにあの演出はなんだったんだ？』と最後までモヤモヤするポイントになり折角入り込んでいた気持ちが切れることになってしまった。
仕組みや構造は壮大なスケール、ポテンシャルを持っているのにそこまで至らなかった作品。という印象。デジモン映画のような絵的に突き抜けた表現があれば変わったのかもしれない。
現実を超越した仮想世界の冒険劇も観てみたかった。
