しとひと

ジョジョ・ラビットのしとひとのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.0
少年がナチスの洗脳を脱して愛で勝つコメディ映画。



1945年、終戦間際のドイツを舞台に不謹慎な笑いを連発する作品。
先ずこの映画はナチス党員が如何にヒトラーに狂酔していたかをビートルズファンの熱狂ぶりと重ねる冒頭シーンで観る側の許容を試してくる。これを許せるのなら、この物語を最後まで楽しめる。

前半は主人公のナチス教育漬け少年が如何にして自分が総統の役に立つかの奮闘ぶりが皮肉たっぷりの笑いで描かれており、彼の愛らしさもあり、ついつい笑いを誘われてしまう。少年と彼を取り巻く登場人物達の生み出す不謹慎な笑いは愛着と強い印象を残すので、物語後半の盛り上がり部分ではとても心を揺すぶられてしまった(戦争がもたらす理不尽で圧倒的な暴力の描写にもやられた)。
楽観的な子供の視点と現実とのギャップ、当時のナチスドイツの思想。真面目なほどに滑稽にみえる様が可笑しくもあり、恐怖を感じさせられた。

監督のタイカ・ワイティティはコメディアンとしても活動している。私はベン・スティラーが出演やら監督やらプロデュースをしている作品達がとても好きで、やはり笑いを生み出すことの出来る人は良作をつくる。というのは定説としてあるのかもしれない。と、今作で益々思う様になった。
(エドガー・ライトとかもか)
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