第一次世界大戦の真っ只中、超重要伝令を預かった2人の兵士の1日を追体験する作品。
第一次世界大戦は4年も続き、西部戦線は泥沼化。国力に差のあるドイツ群はアルベリッヒ作戦によって少しでも大きな被害を連合国へ与えようと画策。この作戦によって連合国側は多くの死傷者を出してしまう。
という、史実の上にサム・メンデス氏の祖父の話を織り混ぜて作られた映画。
作り込まれた舞台セットは圧巻。
大量の兵士と塹壕、ドイツ軍に徹底的に壊された街並み、特に目に着いたのは戦場の人々が口にしているモノだった。懐に隠し持ったサンドイッチやタバコ、小瓶に入ったウイスキーや牛の乳。喉の渇きなどの生々しさが伝わってきた。その中をカメラはひたすらに伝令係の2人を静かに追いかける。もはやドキュメンタリー映画かと思えるほどの体験だった。
IMAXというのも非常に相性が良かった。
大スクリーンの中の伝令係2人の気づきが観客の気づきとほぼ同期した。
ワンカット風に撮影することで次に何が起こるかわからないヒリヒリとした戦場を体験出来るのは素晴らしい緊張感だった。
とまあ、あらゆる事が緻密な計算の上に成り立っている今作を私はファンタジーだと思った。
冷静な画と作り込まれた世界、ワンカットによる緊張感は素晴らしく、戦場の空気と臭いを際立たせている。けど、どうしても静的な撮影方が私と作品とに距離を作る。物語が単純な分、そこが物足りなく感じて仕方がなかった。
画と音が最高。
ロジャー・ディーキンス凄いよ…。