田最環

メランコリックの田最環のレビュー・感想・評価

メランコリック(2018年製作の映画)
3.3
久々によい邦画に会えた。
なんも前情報なしに見た分、そう感じた。
インディーズ映画だと思うが、いい作品。
俳優の演技もよくある絶叫など少なく、自然な演技で落ち着いて楽しめた。

現状にうまく行ってない人に割と刺さりそう。色々設定が詰め込まれてるが幸せとは?をテーマにしているように感じた。

東大卒という学歴ながらも冴えない生活をしている青年、鍋島が身近な銭湯で働き出したら裏仕事に巻き込まれるお話。

まず、銭湯を死体洗いの場所として利用する設定に驚いた。確かにやれなくはなさそう。

メガネとボサっとした髪型で隠れてるが、空気階段かたまり、国山ハセン、ココリコ田中を混ぜたような顔のイケメンでしかも高身長。

この主人公、感情の振れ幅が基本的に浅く、発達障害かサイコパスの一種なのかと考えたが、当事者意識が欠如しているのだと気づいた。非日常に巻き込まれつつも、普段通りの感覚で受け入れていく様が異常。

のちに相棒的存在となる松本、こういう感じの人いるよね。最初仕切りたがりの意識高いバイトリーダー的存在かと思いきや、ただの非日常の警鐘を鳴らしてくれる優しい人で笑った。金髪でチャラくて人当たりいいのに童貞設定は無理ある笑

百合が東大卒という肩書きで付き合う女の子じゃなくてよかった。最後別れたっきりでなく銭湯でまた会話を楽しむ一連が良かった。
現実にあんな子いない笑

田中を殺す計画を企てるところからはややコメディチックになっている。
東さんがまさかの裏切り者で驚いた。
依頼主を殺すという話が進むところ、ケチャップで死んだふりする田中、撃たれた松本をすんなり受け入れる家庭などツッコミどころで面白い。

中でも時折でてくる鍋島家庭が穏やかなのが良い。よく邦画にありがちな暗いジメジメした家庭で食卓を囲むといったシーンなどなく日常の会話を取り留めなく交わしており、松本やフィリピン女性も受け入れる優しさが良かった。

なんだかんだあったが鍋島は松本、フィリピン女性と銭湯を受け継ぐ。
最後に、このまま続けばいいと思う瞬間のために生きると鍋島が自己完結したのが良かった。

最後に驚いたのが、この鍋島を演じた皆川さん、まさかの彼女役の吉田さんと結婚されているそうでびっくり。

銭湯が絡む映画はいい作品になる説。
銭湯といえば、ゆとなみ社という会社がすごいんだよな。
田最環

田最環