さらしな

今日もどこかで馬は生まれるのさらしなのレビュー・感想・評価

4.0
ウマ娘から競馬にも少し興味を持った勢。妹も私と同じようにハマり、ウマ娘も競馬も私以上に詳しくなり、推し馬や推し騎手もできて、父と妹と私の三人で実際に競馬を見に行ってみたり……。
公営ギャンブルは他にも競艇、競輪、オートがあるけれど、一番「物語」をファンが楽しんでいるのは競馬だと思う。馬の性質や性格、血筋に物語を見出し、騎手に物語を見出し、調教師や厩務員、馬主にも物語を見出して、熱狂する。
「物語」は、馬が生き物で、それぞれに唯一無二であるからこそ生まれるものだろう。しかし、生き物であるからこそ、生まれる葛藤もある。引退した馬や活躍できなかった馬の行き先は、どうなるのか。命を扱う産業として、どうけじめをつけるべきなのか。競馬を様々な立場から支える人々が、それぞれの思いを口にする。競馬ファンから、馬主、食肉センター職員、牧場関係者、NPO法人、元厩務員、などなど、本当に色々な立場の人の話を聞くことができる。それぞれに理想があり、葛藤があり、現実がある。命を扱う上で、何が最善か。
映画には、何度も「割り切る」と言う言葉が出てくる。どんな仕事でも割り切らなければならないことはあるだろうが、命に対する慈しみや悲しみを「割り切」らなければならないというのは、やりきれない。
私は競馬産業に関わる人間ではないけれど、競馬を楽しむ一個人として、どうか彼らの真心が報われるようになってほしい、と思った。
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