あらすじだけ見ると、日常を侵食する悪意ある他者との対峙みたいに思えるけど、その真実はなんて事はない。
ひき逃げ事故で、ある母子の子どもを殺害してしまった罪に耐えられず不眠に陥り、なんとかして自らを正当化しようとした、そんな男の現実と妄想が入り混じった日々を描く仄暗い作品。
トレバーの前に現れるアイバン=事故前の自分を投影するかのようなマッチョ男、加害的な。
マリア=顔しか見ていない、被害者児童の母親と親密な関係性を築くことで、自身への許しどころか、癒しにまで発展させてしまった。罪悪感からとはいえ、キモい。名前が"マリア(聖母)"なのも皮肉めいていて良い。
スティービーにとっては上客だっただろうし、なんならその先も想像していたのかもしれないけど、得てして儚く散るもんだよな…。こういう女性像はマジで胸に刺さる。
まぁ…最終的には寝られてよかったな。
自らの罪を認めることの難しさを、ファンタジックかつダークに描いた良作でした。