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カラーパープルのhrmのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.5
数年前に1985年版を観て、併せて原作も読了済み。
あの穏やかで静かで苦しい雰囲気の物語が好きなので、今作を観るか少し迷った。
そしてやっぱり、うーん…と思う部分がたくさんあった。

それぞれの素材は良いのに、なぜこの組み合わせで作り上げたのか?
大事な部分が端折られて簡素化された教科書みたい。
「ウエスト・サイド・ストーリー」みたいな、テーマは重たいけれどエンターテイメント性も併せ持った映画にしたかったのかなぁ。
ミュージカルシーンも「あの映画みたい」と思う部分が何点か(「シェイプ・オブ・ウォーター」「ウエスト・サイド・ストーリー」「NINE」「シカゴ」辺り)。

1982年:アリス・ウォーカーによる小説の発表。
1985年:スピルバーグ監督、ウーピー・ゴールドバーグ主演で映画化。
2005年:ブロードウェイにてミュージカル化。
2023年:ミュージカル版を基に再映画化。
という流れでリメイクが作られたようなので、経緯は理解できるし、既視感のあるシーンが散見されるのも仕方ないのかとも思う。

ただ、素材は良いのでダンスシーンや歌のパワフルさは素晴らしかったし、映像も綺麗。演技だって◎
衣装や美術も充分に楽しめた。

前作を観た時は利己的にすら見えたある登場人物が、生きることの楽しさを教えること、壁を打ち破るきっかけとなる役割であったことも理解できた(これは自分が年齢と経験を重ねたからというのもきっと大きい)。

周りの客席からは鼻を啜る音も幾つか聞こえてきたし、初見の方は満足できるのかもしれない。
85年版に思い入れがある方は、少なからずもやもやが残る作品だろうと思う。

感じたことは言葉にできたけれどまだもやもやは残っているので、もう一度85年版を観ます。
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