Lauraさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

Laura

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殺し屋ネルソン(1957年製作の映画)

3.5

ムダがないとかスピーディというレベルを通り越している。効率主義。導入?余韻?何それおいしいの感。ここまで来ると映画の定義に立ち戻って考えたくなる。でも男と女がおり、機関銃があり、これは確かにカーティス>>続きを読む

還って来た男(1944年製作の映画)

3.5

川島雄三監督、織田作之助脚本の戦中ドラマ。南方の戦線から帰還した軍医(佐野周二)を主役に、田中絹代演じる小学校の先生、レコード屋の父子と、川島得意の三つ巴の群像劇形式はこの頃からすでに闊達。「人間は身>>続きを読む

勝利者(1957年製作の映画)

3.0

井上梅次監督のボクシング映画。三橋達也が主人公だけど見せ場は裕次郎と北原三枝コンビにある。三橋は33-34歳にして線の細い二枚目路線から中年の貫禄路線にシフトした感じ。今の俳優は歳とっても見た目若い人>>続きを読む

パンドラの箱(1929年製作の映画)

3.5

ルイーズ・ブルックスの瞳に入りこむ十字型のハイライトはどういう細工なのだろう。

シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)

3.5

Jホラーの先駆け『女優霊』に影響を与えた作品であると同時に、ヒッチコック『レベッカ』のチャーミングなパロディでもある(冒頭の門のシークエンスと不気味な洋館の舞台立て、そしてそこに現れるジュディス・アン>>続きを読む

貸間あり(1959年製作の映画)

3.5

個人的に川島雄三はこういう下町艶笑系よりも都会型群像劇のほうが好みなのだが、どちらが真髄というのではなく、人間ある限り都会にも地方の下町にも生命のエネルギーと悲哀は等しく流れている、という信念こそが彼>>続きを読む

こころ(1955年製作の映画)

3.5

原作が高度に抽象化された書簡体小説なので映像化には根本的な難しさがあると思うが、シナリオは原作に忠実でありつつ世界観を壊さず手堅くまとめられている。また原作には明治の終わりと乃木大将の殉死とか、「先生>>続きを読む

月蝕(1956年製作の映画)

3.0

月丘夢路がハリウッド的ファム・ファタールを演じる倒叙型サスペンス。タイトルは男と女の一瞬だけ重なり合う運命を月蝕に喩えたものか。舞台がナイトクラブということもありたとえばチャールズ・ヴィダー『ギルダ』>>続きを読む

女であること(1958年製作の映画)

3.5

森雅之に原節子、香川京子に久我美子という「王道」の布陣からは想像もつかない奇妙なドラマ。冒頭の丸山明宏の歌声は女という存在の不気味さやるせなさ、面倒くささを看破し、嘲る天使のそれのようで川島らしい見事>>続きを読む

あした来る人(1955年製作の映画)

3.0

のちの作風を予告するような複数のドラマ錯綜型の群像劇なのだが、淡々としすぎてメリハリが効いてないというのか、川島作品にしては穏当な印象。カジカ研究者とか山男とか、ディテールの設定が面白いだけに惜しい。>>続きを読む

青春怪談(1955年製作の映画)

3.0

獅子文六原作。三橋達也演じる生真面目な変人男と北原三枝演じる男勝りの女のカップルのスクリューボールコメディとして面白い。山村&轟の旧世代と三橋&北原コンビが体現する新世代の恋愛模様の対比に芦川いづみが>>続きを読む

続・飢える魂(1956年製作の映画)

3.0

日曜の朝からコテコテの不倫メロドラマを観てしまった。盛大にフラグを立てながらのラスト。当時の人々はこういう映画を劇場で観てカタルシスを得ていたのか。三橋達也がケーリー・グラントに見えてしまうのだが、作>>続きを読む

飢える魂(1956年製作の映画)

3.0

川島雄三監督、丹羽文雄原作の文芸色強め王道メロドラマ。同じ監督でベビーブームを背景とする『愛のお荷物』もそうだけど、今との世相の違いにため息が出る。こんなコテコテの不倫劇、今だったら絶対ありえない。若>>続きを読む

水で書かれた物語(1965年製作の映画)

3.0

母=女性という巨大な謎に翻弄される男の話。65年に松竹を離れてフリーになった、岡田茉莉子の女優としての転機に当たる一作だ。上下左右どこから撮られても隙のないその美貌は女優としての円熟を感じさせるが、い>>続きを読む

愛のお荷物(1955年製作の映画)

3.5

さながらハワード・ホークスを思わせる抜群のテンポ感のコメディ。少子化が喫緊の課題である現代とは裏腹に、1955年に公開された本作の設定は「子供が増えすぎて困る」というもの。いわゆる第一次ベビーブームの>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.0

本州北端の青森出身であること、慢性疾患を抱え若くして世を去ったこと、川島雄三は同郷の太宰治といくつかの共通点を持ちながら、太宰的な暗さや湿っぽさからは(おそらく意図的に)終生距離を取り続けた映画監督だ>>続きを読む

山猫(1963年製作の映画)

3.5

ヴィスコンティは実際に貴族の末裔であり、そのため劇中の貴族文化の再現に真価があるとよく言われるが、本作では例えば屋敷に飾られている絵画は複製であることが瞭然で、撮影のために梅原龍三郎の絵画の本物を用意>>続きを読む

コットンクラブ(1984年製作の映画)

3.5

産業としての映画が20世紀アメリカの光の部分だとすれば、人種差別やマイノリティに対する偏見はその影の部分を担うだろう。たとえばギャングと黒人社会はどちらもマイノリティとして生きることを強いられた人たち>>続きを読む

サスペリア(1977年製作の映画)

3.5

タイトルはイタリア語の慣用だと「ススピリア」という読み方になるはずだが、もし英語だとして「ペ」はどこから来たのか、どうもおさまりが悪くて気になる。それはともかく、極彩色への執着と不条理な世界観(この言>>続きを読む

フットライト・パレード(1933年製作の映画)

3.5

最初から最後まで躁状態の映画。プレコードの映画は沢山あっても、当時のアメリカの映画産業そのもののエネルギーをこれほどまで映しだしている作品は珍しいだろう。トーキーの出現により新たなエンタメの形の創出を>>続きを読む

我れ暁に死す(1939年製作の映画)

3.0

マイブーム、ジョージ・ラフトで5本目🥰
同時代にギャング映画で名を馳せたラフトとジェームズ・キャグニーの競演。脱獄物にギャング映画の味わいを添えたプロットは新鮮だが、セリフ頼りで話が展開していきキャラ
>>続きを読む

カポネ(2020年製作の映画)

2.5

伝説のギャング、アル・カポネ晩年の老醜とデカダンス。アメリカの繁栄と狂乱の時代を体現するパブリックエネミーNo1の存在がここまでダウナーに描かれるのは確かに画期的なのだが、脚本の弱さのため「誰もが知っ>>続きを読む

夜までドライブ(1940年製作の映画)

3.5

久々のウォルシュ。ジョージ・ラフトとボギーが運送業のイタリア系兄弟を演じる。ロードムービーとサスペンスとラブコメディをいっしょくたにしたようなめまぐるしさが魅力的な感触の娯楽映画だ。確かにウォルシュは>>続きを読む

呪詛(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

台湾製ホラー。前評判が高かったのでうーんそれほどかな?と。世界中どこの文化にも土着の信仰があり、禁忌を破った場合その代償は不幸、最悪の場合は命を以て引き換えに…というのは普遍的な法則。YouTuber>>続きを読む

オーディション(2000年製作の映画)

3.0

一種のカルトムービー。グロ耐性が強くない人にはとても勧められない、という意味で見る人を選ぶ作品。「男が女を選ぶ」というオーディションの構造的な醜悪さに切り込む視点は90年代末にあって先進的だが、勧善懲>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

黒沢清の初期作品。総合商社に新設された西洋絵画取引部門に入社した主人公。ルドンやセザンヌ、ロートレックといったフランス近代美術のビッグネームが飛び交うオフィスで繰り広げられるのは、何ということもない退>>続きを読む

ルンバ(1935年製作の映画)

3.0

最近のマイブーム、ジョージ・ラフトで3作目。ラフトはドイツ系アメリカ人なのだが、何故か目が切れ長で少しエキゾチックな雰囲気がある(実際アンナ・メイ・ウォンを相手役に東洋人を演じたこともある)。マンハッ>>続きを読む

真人間(1938年製作の映画)

3.5

ラングがラブコメディを撮っても上手いことが証明されてしまった一作。なにしろ前科者の再雇用を積極的に行なっている百貨店という設定からしておかしい。冒頭のミュージカル調シークエンスは米国の資本主義に対する>>続きを読む

ボレロ(1934年製作の映画)

3.5

ジョージ・ラフトがこんなに踊れるなんて! さもありなん、俳優として立つ前はニューヨークのナイトクラブでダンサーをやっていたらしい。ミュージカル映画をやるためにダンスの練習しましたというレベルではなく年>>続きを読む

女優霊(1995年製作の映画)

3.5

Jホラーの嚆矢として名高い作品だが、何よりも「映画製作の映画」として興味深い。「フィルムに変なものが映りこんでしまう(それを視認してしまう)」恐怖は『リング』に先駆けて、まさに原点と呼ぶにふさわしい。>>続きを読む

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

3.5

いわゆるロードムービーにも分類しうるが、癒しようのない心の傷を抱えた者たちの連帯と孤独を描いて、壮大な叙事詩の様相を帯びている。全編セピアカラー、シネマスコープの画角によって、九州-阿蘇という土地が神>>続きを読む

忘れられた人々(1950年製作の映画)

4.0

ブニュエルは無神論者だと言われるが、たとえばそれはこの映画にみられるように、カトリックにおいて「清貧」の体現者であるはずの貧しい人々をあえて美化しようとはせず、むしろ貧困ゆえに盗みや暴力といった最低の>>続きを読む

わが町(1956年製作の映画)

4.0

肉体派頑固親父の一代記。明治生まれの男の開拓精神は分からなくとも、親との衝突や和解は誰しも経験するもので、なればこそ周りを不幸にしながら腕一本で突き進む男がやがて年老い、時代遅れの老害になっていく姿に>>続きを読む

江戸最後の日(1941年製作の映画)

3.0

昭和16年11月、日米開戦のまさに前夜に公開された、江戸城無血開城を描く時代劇。往時の大スター阪妻が勝海舟を演じ、旧幕府と新政府の仲介役として立ち回る。この映画が製作されたとき、日本は開戦へと続くレー>>続きを読む

青いガーディニア/ブルー・ガーディニア(1953年製作の映画)

3.0

ケイシー・メイヨ役の俳優は見覚えがあると思ったら、のちの『ゴッドファーザー』のマフィア、エミリオ・バルジーニその人ではないか。面影がありすぎる。

それはさておき、ラングにしては結末の伏線回収がやや粗
>>続きを読む