たばたさんの映画レビュー・感想・評価

たばた

たばた

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

3.8

毎度のことながらラストの雰囲気が吉田恵輔的ワンパターンだと思ったけど、良い意味での不快さがあって「空白」よりは全然好き。やはりムロツヨシはこういう役で輝く人なのだと思うし、絶妙に人をイラつかせる岸井ゆ>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.8

映画に「驚き」と「意外性」を求める自分には濱口作品は最高のエンタメだな、なんて思いながら無邪気に観ていたので、あの結末に触れた瞬間バコーンと頭を叩かれたような気分だった。まんまと油断していたのである。>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

2.9

百田尚樹原作の映画を二本撮っていて、ドラえもんやってルパン三世やってゴジラをやる、みたいな人の作品なんでしょ…とかいう色眼鏡で観ないようにはしたつもりなのだけれど、普通に酷いと思ってしまった。

セリ
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.8

自分は子供の頃ずっと水木氏の妖怪図鑑を読んでいた生粋のシゲラーなのだけれど、漫画作品としての鬼太郎にハマったことはないので、こういう映画版の鬼太郎アニメを観るのはおそらく初めて。違う画風になった時点で>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.5

アンドリュー・ヘイがゲイを主人公に長編映画を撮るのはデビュー作「WEEKEND」以来。製作発表された時点でぶち上がったし、とりあえず全肯定したい気分。
想像以上にゲイカルチャーと「ゲイであること」に真
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ラバー、ストーカー、キラー(2024年製作の映画)

3.6

登場する女性が元妻以外に2人いる時点で読めてしまう展開ではあった。個人的には、事件に熱を入れ過ぎた刑事の家庭が壊れたとか、IT班の人が捜査に区切りがつくまで脳腫瘍の手術を延ばしたとか、そういうとこ!そ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.0

THE 日本、という感じの話で暗澹たる気持ちになってしまった。

映画としては、出来るだけ分かりやすくしようとする姿勢が好印象。東出くんってこんな演技も出来るのか、という驚きもあるし、そもそもの彼の
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.0

綾野剛演じるこのキャラクターが魅力的過ぎて怖い…

もう全てのSFはドゥニ・ヴィルヌーヴが撮るでいいし、全ての漫画原作は野木亜紀子に脚色してもらえばいいのでは?と思う。原作読んでないのに、その丁寧さと
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

ノーラン作品の中では出色の出来だと思う。相変わらずエゴイスティックで、予習しても分からないレベルで不親切な作りだったけど、圧倒的な絶望で締め括ったところが映画として好き。アメリカ側からの反省/言い訳、>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.2

この時点で北野武が映画をほとんど観たことがなかった、と言っていることをどういう気持ちで受け止めればいいのだろう。撮影の手数がけっこう多いし、荒削りでもない。あまりにも映画的。撮影監督優秀説も吹っ飛ぶレ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

期待が大き過ぎたんだろうけど、前作ほど好きにはなれなかったというのが正直なところ。あの驚愕のビジュアルとクオリティのまま、その続編を観たな、という感じ。シンプルにめっちゃストーリーが面白くて、原作も脚>>続きを読む

マディのおしごと 恋の手ほどき始めます(2023年製作の映画)

3.8

良作だった。ジェニファー・ローレンスのコメディエンヌとしての才能に脱帽。

ハングオーバーシリーズ的なハチャメチャ感もありつつ、ベタだけどグッときちゃう展開もあって最後の着地も素敵。何よりコメディとし
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.9

自分でも何故か分からないけど、「これってメキシコで実際あったことなの?」って思いながらしばらく観ていた。風刺というより、こういう世の中になっていくんですよ、という事前説明のようだった。

ファニーゲーム U.S.A.(2007年製作の映画)

4.0

怖いくらいほぼ完コピ。
アメリカの観客を意識して作られたオーストリア版が充分な注目を得られなかった、というのがUS版を作った動機らしい。10年の時を経て、まるで間違い探しのような再現度。作品への自信と
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市子(2023年製作の映画)

3.6

市子よりも北くんが気になってしょうがない。悲し過ぎるだろ。

そばかす(2022年製作の映画)

3.5

キャストが良いので観てられるし悪くはないんだけど、テーマをストレートに描き過ぎなんじゃないかなぁと思ってしまった。逆に上澄みっぽいというか、魂が入ってない印象を受ける。ストーリーやキャラクターにもっと>>続きを読む

こちらあみ子(2022年製作の映画)

4.2

ひょっとしたら最近観た日本映画の中で一番良かったかもしれない。
徹底してあみ子にフォーカスすることで生まれる展開の唐突さ。撮影が綺麗(空想シーンが安っぽくない!)。重い話だとは思うけど、誰のことも断罪
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正欲(2023年製作の映画)

3.6

夏月が言う「地球に留学してる感覚」というのは、発達障害の人もそうらしいという話を以前聞いたことがあるし、自分のヤバさがバレないように普通を装って生きてるという人は性的指向関係なく、けっこう多いんじゃな>>続きを読む

愛なのに(2021年製作の映画)

4.0

瀬戸康史と河合優美の説得力でもう充分だなと思う。この2人のパートが他の部分を覆い尽くすように輝いてる。30過ぎの男に16歳の女の子が恋に落ちるみたいな話をおじさん2人が書いてるのはギリギリだと思うけど>>続きを読む

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)

3.7

男が全て同じ顔(に見える)というのは、主人公の心理やバックグラウンドを表すメタファーとしてユニークだなと思う。後半のグロ描写もそうだけど、この映画って「恐怖と笑い紙一重」な部分がけっこう多いのに、それ>>続きを読む

女神の継承(2021年製作の映画)

3.4

ストーリーは悪くなかったけど、最後の展開とか撮影はモキュメンタリーとして微妙だし、暴力描写も中途半端な気がする。

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

3.6

なんか物足りないなぁ… せめてもっと寓話感強めればいいのに、とか思ってたら最後の方で急に来たので、ちょっとホッとした。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.0

ウィットに富んだ会話が飛び交う、個人的にかなり好きなタイプのアメリカ映画。
オスカーノミネートということを念頭に観ると、ヤケクソで書いた小説がヒットするというプロットは若干軽過ぎない?とも思ったけれど
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.2

生々しくて丁寧で濃密な脚本がとにかく凄い…。
結婚とキャリア、ジェンダーとプライド、過ちと罪悪感、他言語によるディスコミュニケーションや子供のハンディキャップなどなどが一つの事件に綺っ麗〜にギュギュッ
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Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)

3.6

けっこう期待してたし、実際良作の雰囲気はあるんだけど、サクサクと物事が上手く転んだりモブキャラたちが手のひら返したり、アメリカ映画的軽さが気になった。6年前だし、入門編としてこんなもんなのかな、という>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

前半は不幸のワンダーランドって感じでマジで楽しかった。酷い!凄い!天才!と心の中で叫びながら笑ってた。

ホアキン以外のキャストをチェックしてなかったので、ネイサン・レインの登場には、おお!となったし
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バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

3.8

初鑑賞。
風刺のはずなのに、何をどう風刺してるのかが分かるようで分からないのが良かった。ダメなところも味わい深いし、キタノを演じるビートたけしを愛でるだけでも価値があると思う。不気味で怖くて可笑しくて
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ミミック(1997年製作の映画)

3.4

主人公が抱くはずの罪悪感で起こるドラマとか、少年の能力の意味とか、いろいろ弱いなと思った。クリーチャーもっと見たかった。

美術は流石。

オーディション(2000年製作の映画)

3.7

錚々たる脇役の面々を見るだけでも楽しい映画。例の超不快シーンが悪い意味でこの映画に暗い影を落としてる気がして、それまでが良いだけにバランスとしてもったいないと思ったのだけれど、時代的にも当時の三池監督>>続きを読む

ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.5

「ファニーゲームU.S.A.」を昔観たけど、こんなだったっけ?もう一回観比べたい。

第四の壁を壊すタイミング、一旦希望を与えてからの絶望、そのアクロバティックな手法とか、胸糞という言葉で括るには芸術
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.2

「史上最高のコンサート映画」という触れ込みで観ると若干拍子抜けするかもしれないけれど、「コンサートを演劇と捉えて映画として撮る」みたいなジョナサン・デミのアイディアは画期的だったんだろうし、コンセプト>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

前半は理不尽過ぎる展開に呆気に取られて、これってアメリカの現実なの???とか驚いてるうちにどんどん話が進んでいく良さがあるし、そこからのツイストもストーリーとして面白く思える。
ただ、崖っぷちに立って
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.6

正直、かったるいなぁ…と思いながら観てたけど、キャラクター同士の関係性に馴染んでくると惹きつけられるものがあったし、最後の画廊のシーンですら、あの程度の抑揚で収めてしまうの、ほんと勇敢だなと思う。
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

ずっとメットガラ状態のベラの衣装とか音楽(Jerskin Fendrixって何者??)、美術も撮影もほんとビザール!って感じで素晴らしかった。
ちなみにヌードや性行為のシーンが多いのは予想してなかった
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

3.9

ショーン・ベイカー作品まだ二つしか観てないけど、いい意味でのワンパターンを極められるタイプなのかもしれない。共感出来ない登場人物、時折出てくるハッとするほど綺麗なシーン、独特の終わり方。これほど社会問>>続きを読む

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