15年前に電脳コイルで描かれた少し先の未来からさらに少し先の未来へ。
IT企業の宇宙体験キャンペーンにより、日本製の商業宇宙ステーション「あんしん」に招待された3人の少年少女たち。そのキャンペーンの一環でステーションで暮らしている人類初の月で生まれた子供たちである相模登矢(さがみとうや)、七瀬・Б・心葉(ななせ・べー・このは)の二人と交流をしている途中で大きな災害に見舞われる。
その災害によりステーション職員の大人達とはぐれてしまい、更には通信機能のダウン、また酸素供給機能も停止してしまった「あんしん」から自力での脱出を少年少女達は試みる。AIを駆使し仲間達と協力して危機を突破していく中、登矢と心葉の生まれ故郷である月を壊滅に導いた「ルナティック」を引き起こしたAI である「セブン」の真実に触れる事になる。
特典映像のインタビューで磯光雄監督は「この作品はSFというよりは、あくまで子供たちに夢やワクワクを提供するエンターテイメントのフィクションである」と話して居たけれども、電脳コイルでもそうであったように、決して突飛で荒唐無稽なフィクションでは無く、既に実現されているか、もしくは近い将来には実現されているであろう身近な未来をテーマにして、それが当たり前に溶け込んでいる日常を描く事に物凄く長けていて「ワクワクしたちょっと先の未来」を丁寧に描くセンスに脱帽する。
ハッキングをして違法改造でAIに機能制限を掛けているリミッターを解除しようとする少年や登録者1億人を目指す配信者少女を登場人物にしたりとかも今風だなぁと。ハッカーな少年少女は既に電脳コイルで登場していたけど。
製作上の都合で全6話構成だけれども、ワンクール12話構成でもう少し掘り下げた物語を見たかったと言うのが本音。