このレビューはネタバレを含みます
スポ根相撲クローズZERO。
予告編から『型破りな不良主人公が角界に殴り込み!』みたいな話かと思って期待したのだが…
序盤~中盤はまさにその通りで、相撲の世界とそこに蔓延る古いしきたりや慣習に、主人公(とヒロイン)が若さ故のイキリで逆らっていくというとても良い掴み。画面一杯に広がるデブ達だけでも絵面が汚いのに、それに輪をかけて散らかった部屋や臭そうな便所、性根の腐った人間、崩壊した家庭など、まさにゴミ屋敷のように積もり積もった大量の『負の要素』を、主人公は四股一本でぶち壊していこうとする。正直神作始まったわこれと思った。
だが終盤に差し掛かると、話の中心が突然スポ根感動ポルノに変更される。演出にいちいち『はいここ感動してくださいね-』みたいな音楽が入り長尺の間を取る。7話に至っては全員くっさいセリフしか言わなくなり、クソ間延びした稽古風景と共感性羞恥の塊のような女記者のポエム記事が延々と垂れ流される。今までの尖ったテーマや作風はどこへやら、品質が一気に安っぽいテレビドラマまで落ちた。監督か演出家あたりが撮影途中で降板でもしたのかと疑った。
よかったとこ
・主人公を始めとして男性キャストの体作りはすばらしい
・序~中盤は最高
・デブがいっぱい見れる
・余貴美子演じる主人公のおかんが最高
・ヒロイン・キャバ嬢・おかみさん皆えっち
うんこ
・ヒロインがあの性格でありながら相撲へ傾倒していく動機づけが弱すぎる。というかこのキャラ薄っぺらすぎて女優が可愛い以外に魅力が全くない。
・主人公の才能の描写が弱いので、親方や兄貴分の行動に説得力がない。一応ヒョロガリがハッパかける描写はあったがそれだけでは足りず、個人的には猿谷を慕っていたが才能のない自分を見てもらえず主人公を誹謗中傷してた猿河から『俺には出来なかったがお前になら出来る』という激励が欲しかった。というかあったらたぶん涙腺崩壊していた。
・ラスボス静内の過去エピソードが流石に蛇足&意味不明&中途半端すぎる。
・スローモーション演出は効果的な所もあったが流石にクドすぎる。
・終盤突然の感動ポルノゴリ押し。角界ぶっ壊してくれよ何染まっとんねん。
まとめるとスタートダッシュ命の尻すぼみドラマ。終盤は特に間延びして全8話でも長いと感じてしまうので、2時間の映画に納めるのがちょうど良かったんじゃねえかと思う(終盤の演出全般がクソなだけで、巷で批判されている『終わり方』に関しては別にあれでいいと思う)。
とはいえ序盤は間違いなく面白いし、勢いで観てしまってもそこそこ爽快感は残る秀作。稽古シーンが多いので相撲好きになれる。