このレビューはネタバレを含みます
24/10/26(土)
まじでこのモノローグが100分続くのか……疲れる……
でも、音響(環境音や劇伴、人物の発話)を全て切り捨てて、主人公の独白に全振りする映画なんて観たことないのでふつうに感動している。字幕追うのにめっちゃ疲れるけど。
文学でふつう扱われるような語り手の自意識の問題を、三人称カメラ視点のはずの映画というメディアでうまく表現している。
「いい映画を一本みたあとのような読後感」という紋切り型の誉め言葉があるけれど、この映画は「文学作品を一冊読んだような視聴体験」だな。900ページの小説、とかチェイスさん言ってたし。(これマジで小説原作だったらズッコケるけど流石にちゃうよね?)
「映画らしさ」をほとんど棒にふっている映画だけど、それって確かに映画にしか出来ないことなので、贅沢ながら、上手い形式だなぁと思わざるを得ない。
ビーチで自分の近くに座ってきた女性たちを次々と立ち退かせるくだり、おもしろすぎる。ヤバい奴すぎて。
えぇ…… 予想外すぎる終わり方。マジで噛んで殺したの? それでサメによる死だと誤認させた? そんなことある?
主人公チェイスがまったく信用できない語り手なので、何とも言いようがない。
全12章構成で、第10章で別の女性に語り手がいきなり変わる。チェイスと同じくサメに殺されたいと願ってビーチを放浪する未成年。サメやサメ映画への意見は正反対。
そして次の11章でまたチェイスに語りが戻り、百合みたいな出会いと交流をして、嚙み殺す(?)
エンドロールの最後、「この映画は自殺を推奨するものではありません。悩んでいる人は支援があります」のような啓発的メッセージが出るところまで含めて、どういうつもりで作っているのかよく分からない、風変わりな映画だった。
でも、この唯一無二感と、独自の作風をやり切っているカッコよさが好きだ。2時間の朗読劇を聞かせられたようで疲れるけど。