イタリア文学の最高峰・ストレーガ賞に輝く国際的ベストセラー小説『Le Otto Montagne / The Eight Mountains』の映画化。
ベルギー出身のフィリッポ・ティーミエレナ・リエッティ監督と女優シャルロッテ・ファンデルメールシュ夫妻が監督。
北イタリアのトリノで両親と暮らす12歳のピエトロが、休暇に訪れた山麓の小さな村で、同い年の少年ブルーノと出会う。
ピエトロは、父が大工場のエンジニア、母は教師で、いかにも都会っ子。
一方のブルーノは、レンガ職人の父はほぼ不在（母もいないが詳細不明）で、叔父夫妻のもとで、学校に通わず牛飼いとチーズ作りを手伝っている。
この対照的な2人が友情を育み、15年間の空白期間を経ながら、互いの人生と真摯に向き合っていく物語。
何より素晴らしい、北イタリアの雄大なモンテ・ローザ山麓や、ネパール/チベットの大自然の壮大な景観。
少年時代の二人を演じた子役も良かったですが、30歳を越え互いに髭をたくわえたピエトロ（ルカ・マリネッリ）とブルーノ（アレッサンドロ・ボルギ）の味わい深い演技がいい。
※ブルーノはピエトロをベルトBertoと呼びます。Pietro＝Rock(岩)の意味→その方言がBerto。
※ジャケ写は2人が高地の廃墟を小屋に再建し終えたシーン。
原題『Le Otto Montagne / The Eight Mountains（8つの山）』は、ピエトロがネパールで知る仏教の世界観【九山八海（くせんはっかい）】のこと。世界の中心にそびえる聖なる須弥山(しゅみせん)と8つの山と海からなる小宇宙。この須弥山と8つの山が、2人の関係をあらわす重要なモチーフとなります。
邦題『帰れない山』も、この関連でピエトロの後半のセリフに出てきます。
このピエトロとブルーノ2人の関係に、ピエトロと父ジョヴァンニ（フィリッポ・ティーミ）の関係、ブルーノと山との関係が絡んでいくストーリー/脚本が素晴らしかった。
