sonozyさんの映画レビュー・感想・評価

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IMMACULATE 聖なる胎動(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アメリカで生まれ育った主人公のセシリア(シドニー・スウィーニー)は、12歳の頃の一件で神を信じ、修道女としての道を選んだ。

アメリカで所属していた教会が閉鎖されてしまい、イタリアの修道院からの招待を
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プリンス・オブ・ブロードウェイ(2008年製作の映画)

4.5

ニューヨークの夢の象徴ブロードウェイ。
その表舞台ではなく、路上で偽ブランド品を売るストリートハスラーとして生きる、ガーナ出身の不法移民ラッキー(プリンス・アドゥ)の変容の旅。
雇い主であり良き理解者
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スターレット/チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密(2012年製作の映画)

4.0

せっかく原題『スターレット』で劇場初公開されたので、この悪評集まる旧題は添えなくていいと思います、フィルマさん。

愛犬のチワワ・スターレットといつも一緒、21歳のポルノ女優・ジェーン(愛称テス)が、
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バレリーナ:The World of John Wick(2025年製作の映画)

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幼い頃、バレエの練習をしてくれていた父が殺され孤児となり、引き取られたロシア系犯罪組織 ルスカ・ロマの元、バレエと戦闘力を鍛え上げたイヴ(アナ・デ・アルマス)が、一人、復讐に向かう物語。

ジョン・ウ
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マルティネス(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

メキシコ出身の女性ロレーナ・パディージャ長編監督デビュー作

主人公は、メキシコで暮らすチリからの移民マルティネス。
偏屈で人間嫌い、友達も恋人もおらず、事務仕事一筋、朝の腕立て伏せ、出勤、退勤後はプ
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脱走(2024年製作の映画)

4.0

命がけの脱北を試みる軍曹ギュナム(イ・ジェフン)と、それを何としてでも阻止しようとする幼馴染でエリート軍人のヒョンサン少佐(ク・ギョファン)。
この二人の関係を軸にした、疾走感、スリル、駆け引き、ユー
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メドールの帝国(1986年製作の映画)

3.5

13分という短い時間の中で、当時のフランス社会におけるペット(ワンコ)と人間の関係、それを取り巻くペット産業などをリュック・ムレらしくユーモラス&風刺的に描いた作品。

フランスと言えば、犬のうんちの
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ザ・ザ・コルダのフェニキア計画(2025年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

大好きなウェス・アンダーソン ワールド。
今回は、ヨーロッパの大富豪ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)と、その娘リーゼル(ミア・スレアプレトン ※ケイト・ウィンスレットの娘)の父娘関係修復を軸にし
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カーテンコールの灯(2024年製作の映画)

5.0

ある悲しい出来事を経験しバラバラになりかけている親子3人の家族が絆を取り戻す物語。
『セイント・フランシス』のケリー・オサリヴァン(主演・脚本)とパートナーのアレックス・トンプソン(監督)が、共同監督
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九⽉と七⽉の姉妹(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

『アッテンバーグ』が長編初出演の女優アリアン・ラベド(夫はヨルゴス・ランティモス)の長編監督デビュー作。
原作は、デイジー・ジョンソンの2020年の小説『Sisters』。

写真家の母と暮らす、いつ
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密輸業者たち(1967年製作の映画)

4.0

架空の国境地帯を舞台に、偽の税関職員になりすました密輸活動をしている男と二人の女の奇妙な三角関係の冒険物語。

『ブリジットとブリジット』つながりで登場する、ピレネー出身の方のブリジット(フランソワー
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焼け過ぎのステーキ(1960年製作の映画)

3.0

リュック・ムレの短編。
小さなアパートの一室で繰り広げられる姉と弟のやり取りを捉えたホームムービー的な作品。
ロメールの短編『紹介、またはシャルロットとステーキ』へのオマージュでもあるようです。

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労働喜劇(1988年製作の映画)

3.5

リュック・レムによる労働と失業の矛盾を突いた作品。

突然リストラされてしまう、妻子持ちの真面目な銀行員ブノワ(ロラン・ブランシュ)。
失業中の(実は“プロの?失業者”)登山家シルヴァン(アンリ・デウ
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地下鉄の改札(1984年製作の映画)

3.0

パリの地下鉄・メトロの改札を切符を通さず(無賃乗車)通り抜ける様々な方法をユーモラスに捉えた短編。

駅側が対策しても(この対策もヌルいですがw)何とかして通り抜ける人々。
まともに切符を通した1人の
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ビリー・ザ・キッドの冒険(1971年製作の映画)

3.5

極めて低予算でわずか6日間で撮影されたという、ヌーヴェルヴァーグの実験精神を体現した独特な西部劇。

強盗を働いた後、目撃者を追って殺害したビリー・ザ・キッド(ジャン=ピエール・レオ)が、奪った金の扱
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ウニの陰謀(1992年製作の映画)

3.0

フランス北部のかつての炭鉱地帯に残された廃棄物・鉱滓(こうさい/スラグ)の山々を捉えた短編ドキュメンタリー。

この、何世代もの炭鉱労働者が働いてきた結果のスラグの山々が、地図上でウニのような形状で表
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食事の起源(1979年製作の映画)

3.5

リュック・ムレと妻のアントニエッタ・ピゾルノが食卓でツナ、卵(オムレツ)、バナナを食べるシーンから始まり、その三つがどのようにして彼らの皿に到達したのかを遡り追跡していくドキュメンタリー。

いかにも
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カップルの解剖学(1976年製作の映画)

4.0

リュック・ムレと妻のアントニエッタ・ピゾルノとの共同監督作で、1970年代の女性解放運動に影響を受けた夫妻の性的・感情的な関係を赤裸々に描いた実験的な作品とのこと。

経済的に困窮している映画監督とし
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小麦の買占め(1909年製作の映画)

4.0

D.W.グリフィス監督の1909年の短編サイレント。

貪欲な投機家が小麦市場を独占。その一族は贅沢三昧。
市場操作の影響で他の投機家には破産する者も。
小麦価格高騰によりパン価格が暴騰し一般市民が買
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開栓の試み(1988年製作の映画)

4.0

リュック・ムレ本人が登場し、手でひねって開けるスクリューキャップ式の瓶のコカ・コーラの開栓に様々な方法でチャレンジし続ける約15分間。

消費社会のアイコン的なコカ・コーラを使って、現代社会の矛盾を皮
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黒い大地(1964年製作の映画)

3.0

リュック・ムレの短編ドキュメンタリー
道路や電気といった現代的なインフラから切り離された二つの山村を、民族誌的ドキュメンタリーへの意図的な皮肉や風刺的アプローチで捉えたというもの。

登場するピレネー
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ブリジットとブリジット(1966年製作の映画)

3.5

ヌーヴェル・ヴァーグ世代の中で独特の存在感を持つという、批評家出身のリュック・ムレ監督の1966年の長編映画デビュー作。
ゴダールに「真に革命的な映画」と讃えられ、イエール映画祭で審査員特別賞を受賞し
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ジムの物語(2024年製作の映画)

4.0

フランスのアルノー&ジャン=マリ―・ラリユー兄弟監督作。

フランス東部ジュラ山脈に囲まれたサン・クロードで、控えめな心優しい男エメリック(カリム・ルクルー)は、悪い仲間の犯罪に巻き込まれ、彼だけが服
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愛はステロイド(2024年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

『セイント・モード/狂信』のローズ・グラス(イギリスの女性監督)のA24作品。
クリステン・スチュワートとケイティ・オブライアン主演による、暴力・愛・執着が絡み合う物語。

ジムのマネージャーでレズビ
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骨 4Kレストア版(1997年製作の映画)

5.0

ペドロ・コスタ監督で未見だった本作。
移民が多く暮らすリスボンのスラム街フォンタイーニャスで撮影され、現地住民も多く起用されているそうですが、タイトルのように、人間の最後の姿=骨のごとく、感情も意思も
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エレベーション 絶滅ライン(2024年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「〈奴らの領域〉地上2500m以下に、下りたら、即死。」というコピー通り、「リーパー」と呼ばれる謎のモンスターに地上を制覇されて3年後の地球。

奴らは、タイトル『Elevation(高度/標高)』8
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Architecton(原題)(2024年製作の映画)

3.5

『GUNDA』で注目を集めたロシア出身のドキュメンタリー映画監督ビクトル・コサコフスキーの新作。

プロローグとして登場するのは、ロシア軍による爆撃で破壊されたウクライナの建物。
イタリアの詩人ジョヴ
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罪人たち(2025年製作の映画)

4.5

『ブラックパンサー』の監督ライアン・クーグラーが放つ、世界騒然のノンストップ・サバイバルホラー!と、公式サイトにありますが、このニュアンスとはちょっと違うかな?かなりユニークな作品でした。

マイケル
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The Legend of Ochi(原題)(2025年製作の映画)

5.0

ミュージックビデオ、CM、短編の監督を務めてきたアメリカのアイザイア・サクソン監督のA24配給による長編デビュー作。
『システム・クラッシャー』で注目を集めたヘレナ・ツェンゲル演じる少女ユリと、オチと
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犬の裁判(2024年製作の映画)

3.0

フランス系スイス人の女優レティシア・ドッシュの監督デビュー作。
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品されたコミカルな法廷コメディ。

勝ち目のない訴訟ばかり引き受けるため負け続け、事務所から解雇
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サタンがおまえを待っている(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まったく知らなかった内容の、興味深いドキュメンタリー作品でした。

1976-1977年のカナダ・ビクトリア。
ミシェル・スミスという女性は、担当セラピストである精神科医ローレンス・パズダーの催眠療法
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アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓(2022年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

第二次世界大戦の終戦後の余波の中、ヨシフ・スターリンは世界中に散らばったアルメニア人大虐殺の生存者たちに、祖国アルメニア(当時はソ連の支配下にあった)に帰還するための手当を提示した。
希望を胸に、約1
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DROP/ドロップ(2025年製作の映画)

3.0

『ハッピー・デス・デー』『ザ・スイッチ』のクリストファー・ランドン監督の新作。

夫の死のトラウマを抱え続けながら幼い息子を育てるシングルマザーのバイオレットが、妹に後押しされ、マッチングアプリで知り
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We Live in Time この時を生きて(2024年製作の映画)

5.0

『BOY A』『ブルックリン』のアイルランドの監督ジョン・クローリーの新作。

妻から離婚を切り出され離婚届を書く覚悟を決めた失意のトビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と、新進気鋭のオーナーシェフ
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ラブ・イン・ザ・ビッグシティ(2024年製作の映画)

3.5

原作は、韓国の作家パク・サンヨンの連作小説「Love in the big city(大都会の愛し方)」で、ソウルという大都市で生きるゲイの男性の恋愛、友情、家族関係、孤独、喪失など、さまざまな人間関>>続きを読む

The End(原題)(2024年製作の映画)

3.0

『アクト・オブ・キリング』『ルック・オブ・サイレンス』のジョシュア・オッペンハイマーが監督・共同脚本を務めたポストアポカリプス×ミュージカルな作品。

T.S.エリオット『四つの四重奏』からの引用で始
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