Binchois

連合艦隊のBinchoisのレビュー・感想・評価

連合艦隊(1981年製作の映画)
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戦艦大和ってこんな下らない理由で沈んだのか。この史実は全然讃美なんかできない。あの戦争に多様な側面と解釈があるとしても、より描くべきはやはり愚かさの方だろう。
お偉方ばかりでなく、戦局に翻弄される市井の人々を丁寧に描いている。
整備士長門裕之と特攻少年兵の、艦上での束の間の交流。涙なしには見られない。
「俺は大馬鹿だ、下士官あがりの僻み根性が、倅の命を縮めちまった…」父の財津一郎が息子の中井貴一に漏らす言葉が、錨のように心に沈む。
古手川祐子さんが麗しい。しかしこの時代の女性観は結構しんどい。人格ある他者の人生を、兄弟間で勝手に決めてんじゃないよ。「美しいままにしておいた」という観念は当時にしてはナチュラルなのだろうが、なかなかキモい。本人が言うとおり「お人形じゃない」んだよ。

この重厚な主題歌『群青』を手掛けたのはチンペイさんだが、公開当時若干33歳だってよ。ちょっと信じられない。
谷村新司さんの訃報から数日後に、今度は財津一郎さんの訃報が入った。時代がひとつひとつ終わってゆく。
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