29球Agent

時をかける少女の29球Agentのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2010年製作の映画)
2.8
タイトル見ただけでノスタルジックな感情が湧き起こるのは致し方無しなんですが、やっぱり和子役は原田知世に演じて欲しかったですね。
それが無理ならせめて吾朗ちゃんは尾美としのりで原田知世版ファンを喜ばして欲しかった。

冒頭からいきなり”時をかける少女”のメロディーが流れる嬉しい演出と、ラベンダーもきちんと登場させてくれますから、原田版に思い入れが有る方はすんなり物語に入れます。

個人的にタイムリープが絡むと時代が異なる人間同士の”恋は成就せず”が何無く読めるため、観賞前から悲恋を見越して既に切ないモードに入り、本編で「桃栗三年柿八年」のメロディーが流れようものなら濁流の如く涙が溢れ出たんですが、さすがにそこまでのサービスはしてくれませんでした(笑)

物語自体タイムパラドックス回避のためその時代に介入出来ない非情な内容ながら、至極淡々と進むので少々拍子抜け。
和子が伝えたかった言葉もわざわざ時代を超える危険を冒してまで伝えないといけない言葉だったのか、どうも納得しかねます。
伝えることが出来ても結局記憶を消される・・・って堂々巡りな展開に、愛の力で”彼の”心を動かすぐらいの激しいエピソードを期待するのは酷なんでしょうか。
それはあかりの涼太に対するエピソードに関しても同様。
行儀よすぎる行動が物語の熱を覚まさせるし、結局以前の作品の内容(虚無感)を踏襲しているだけなんですよね。

原田版の様な切なさを前面に押し出したテイストとは趣が異なる、至極淡白なテイストに個人的には非常に物足り無さを感じたことは否めません。
エンディングも感傷に浸る気持ちをぶつ切りするような余韻の無さに未消化感のみ残りました。
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