むさじー

ぼんちのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

ぼんち(1960年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

<老舗のぼんぼんと取り巻く女たちの人情ドラマ>

ぼんちとは「器の大きいぼんぼん」のこと。
喜久治(市川雷蔵)の女遍歴が軸になってはいるのだが、喜久治が渡り歩いた五人の女たちや一卵性母娘のような祖母と母、それら取り巻きの女たちのたくましさが事細かに描かれる。
当時の船場のしきたりというのがあって、家を守るため祖母と母が口うるさくえげつなく暗躍するのだが、女系家族で育った二人が嫁いびりの自覚がないままエスカレートする様が凄くて、怖さ半分、おかしさ半分。
また、船場のしきたりでは公然と妾を認めていて、妾となった芸者ぽん太(若尾文子)がしきたりに従って本宅を訪れ「二号の本宅伺い」の口上を述べるのには、驚くとともに笑ってしまった。
内容は今から見れば常識外れなのだが、登場する女性の話しぶりやその佇まい・作法には凛とした美しさがあって結構心地よく、ぼんちの持つ飄々として憎めないキャラが絡むと、どこか人間臭い世界を思わせ、大らかでホッコリする人情ドラマになっている。
演出は、時折省略し過ぎではないかと思えるくらいのリズミカルなカット割りでテンポ良く、映像(撮影宮川一夫)も町行く人の往来、近代的なビル群と昔ながらの町並み、そんな人住む町の風景を印象的に挿入し、映画全体にリズム感を与えている。
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    偏屈ジーサンの映画備忘録です。自身の評点3.6以上で投稿しています。やや理屈っぽくて深読みに傾いていることと、好みがインディーズ寄りの点はご容赦ください。固すぎて偏狭で面白くないという知己の評を真摯…

    偏屈ジーサンの映画備忘録です。自身の評点3.6以上で投稿しています。やや理屈っぽくて深読みに傾いていることと、好みがインディーズ寄りの点はご容赦ください。固すぎて偏狭で面白くないという知己の評を真摯に受け止め、これからも面白くないレビューを書いていこうと思っています。温故知新、良品発掘がモットーです。