むさじーさんの映画レビュー・感想・評価

むさじー

むさじー

名画座通いの頃からネット配信の現代まで、温故知新、共感第一、ジャンル無節操をモットーに選んでいます。

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ルージュの手紙(2017年製作の映画)

4.0

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<愛憎絡む真逆な生き方の二人が、互いに思いやり寄り添う>

生真面目な助産師クレールが、間近に死を控えた義母ベアトリスを迎え、長らく疎遠だった上に自由奔放な性格の義母に振り回されるが、その自由な振る舞
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グロリア(1980年製作の映画)

3.8

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<母性に目覚めた任侠おばさんのヒューマン活劇>

リュック・ベッソン『レオン』(’94年)と設定や物語が似通っていることから“同作の原型”と言われるが、ヒロインと男の子なので真逆の組み合わせになってい
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切腹(1962年製作の映画)

4.0

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<日本映画が凄かった時代のギリシャ悲劇風時代劇>

廃藩し貧困にあえぐ浪人を、武士道の建前で陰険に切腹に追い詰めた家老と、娘婿を残忍な形で殺された老浪人の対決であり、武士道が持つ虚飾性、残酷性へのアン
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タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜(2016年製作の映画)

4.0

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<広州事件を基に”正義”を問うエンタメ作品>

史実を基にしているが、実はかなりフィクションを盛ったエンタメ映画になっていて、観終わって、観客を惹き込んでいく展開の見事さに驚くと共に、正直“やり過ぎ”
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ミッドナイト・バス(2017年製作の映画)

3.8

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<新潟発:壊れた家族、男と女の再生物語>

男の優しさから生まれた気持ちの揺れが物語の軸にあるのだが、それが女のエゴと衝突したとき、男の甘さが一気に露呈してしまう。
優しさというのは、甘さ、弱さを隠し
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巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.6

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<競争社会の歯車に巻き込まれた人間の悲哀を描く>

高度成長期の宣伝合戦、それは企業間競争であると共に、マスコミがどんどん肥大化していた時代でもあり、誇張と思いながらも熱気がうかがえる。
社会派コメデ
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エイプリルフールズ(2015年製作の映画)

3.8

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<嘘で固めた物語に、秘めた優しさを見る>

複数のエピソードが絡み合って、最後に一つの像を作り上げるのが“群像劇”だが、これだけ沢山盛り込むともはや収拾困難で、エピソードの集積で終わりそうなもの。
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イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014年製作の映画)

3.8

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<暗号解読に挑んだ孤高の天才の短い生涯を描く>

暗号解読という戦争の裏側が舞台で、天才の孤独とセクシャル・マイノリティの孤独という主人公の内面に焦点を当て、かつ史実に沿うという姿勢なので、地味で淡白
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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

3.8

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<孤独死を弔う男が、死者の”生きていた証”を探して>

暗く重いテーマだが、淡々と描く中で、クスっと笑えるシーンや穏やかな空気が流れていて温かく、それが救いになっている。
孤独死した人に対して、その人
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靴職人と魔法のミシン(2014年製作の映画)

3.6

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<ダメ男の変身願望を叶える分相応なファンタジー>

たわいもないファンタジーと言えなくもなく、突っ込み所は満載なのだが、変身の設定が秀逸な上に、他者になり切れない主人公が魅力的で、単なるファンタジーと
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第三の男(1949年製作の映画)

3.8

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<戦後の闇と悪を光と影で描いた芸術的ノワール>

戦後の大混乱の中、それは善と悪だけでは割り切れない状況下にあって、深く悪と闇に生きた男、その悪を知りながら一途に愛した女、友の悪を許せず抹殺してしまっ
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アメリカの友人(1977年製作の映画)

3.8

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<余命短い職人が挑む殺しに、加勢する詐欺師の友情>

ヨナタンは自分の病状に不安を持ち、残される妻子のために危険な仕事を引き受ける、切なさ一杯の真面目男。
トムはビジネスに長けた詐欺師だが、人懐っこい
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

3.8

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<マジックミラー越しに語る人生は身勝手だが切ない>

前半は兄と弟の旅、後半はトラヴィスと息子の旅が描かれる。
トラヴィスが失踪していた4年間のことは語られないが、なぜ失踪したのかは「のぞき部屋」を通
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白熱(1949年製作の映画)

3.8

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<テンポ良く、今も新鮮な70年前のギャング映画>

驚いたのは、70年前とは思えない捜査能力の高さである。
捜査側が、容疑者の母親の車を尾行する際、三台の車で無線を駆使して入れ替わりながら後を追うシー
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さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

4.0

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<時代に翻弄された京劇役者の愛憎を描く>

中国の激動の時代を生き、その流れに翻弄された京劇役者たちの人間模様を描いている。
それは53年の長きに渡り、養成所での過酷な修業時代、戦時下の苦難時代、戦後
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バーディ(1984年製作の映画)

3.8

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<反戦、友情、そして最後に語るものは?>

ベトナム戦争でPTSDを発症した青年と、彼の心を取り戻そうと努める親友の友情物語であると共に、優れた反戦映画である。
現在と過去を交差させるストーリーと、畳
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肉弾(1968年製作の映画)

4.0

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<戦争の哀しみをシニカルな目と笑いで描く>

戦争と笑いというのは、その取り込み方もバランスも難しいと思うが、岡本のそれは絶妙である。
戦争がもたらす哀しみ、寂寥感を笑いに変える術を持っている。
学徒
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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

4.0

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<孤独な盗聴のプロが陥った不安と妄想の地獄>

ハリーにとっての盗聴や観察は仕事であり、社会や他人との唯一のコミュニケーション手段で、あくまで一方通行であるが故に彼の世界を脅かすことはなかった。
しか
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男の顔は履歴書(1966年製作の映画)

3.8

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<戦後日韓のタブーに切り込んだ人間ドラマ>

映画の冒頭に「この映画は敗戦後の混乱を描いたフィクションであり、民族間対立のない平和な未来を願う」という趣旨の文章が流れる。
単に民族間抗争劇にせず、被虐
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さびしんぼう(1985年製作の映画)

3.8

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<”感傷”が死語でなかった時代の青春ファンタジー>

「さびしんぼう」は大林の造語で「人を愛することは淋しいこと」という大林の感性が生んだもので、大林ならではの感傷的な青春ファンタジーである。
写真か
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アノマリサ(2015年製作の映画)

3.6

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<R15指定アニメで描く”中年の危機”>

ストップモーションアニメで、R15指定で、“中年の危機”を描くというという超異色作。
人形を1コマずつ動かして撮影し、つないで動画を作っていくわけだが、その
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シックス・センス(1999年製作の映画)

3.5

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<親子の絆、夫婦の愛を描いた傑作ホラー>

“泣けるヒューマンホラーの傑作”が謳い文句(?)だが、ラストで実際に真相が明かされ、一気に伏線の回収がなされる様はやはり興奮するし、最後まで引っ張る演出力、
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黒の魂/黒い魂(2014年製作の映画)

3.8

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<マフィアの抗争に巻き込まれた農民の慟哭を描く>

息詰まる緊張のラスト30分の衝撃が凄い。
かつて父親を殺され、今度は弟(三男)と息子を失い、自分の血を呪いながら、いま闘いに臨もうとする二男を射殺す
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ヴィンセントが教えてくれたこと(2014年製作の映画)

3.5

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<不良老人の慈悲に”聖人”を見た子どもの成長>

この不良老人を見ていると、大らかで、人生何とかなるという気持ちになるし、子どもとの交流にはホッコリしてしまう。
それにしても、不良老人と子どもは何かと
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「僕の戦争」を探して(2013年製作の映画)

3.6

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<挫折した若者と優しい中年男が人生を見つめ直す旅>

挫折した若い二人が、アントニオの温かい人柄に触れ、少しだけ人生に前向きになろうとする。
そして、アントニオは若い二人に明るい未来を託すという真摯な
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チャップリンからの贈りもの(2014年製作の映画)

3.5

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<名もなく貧しい人たちにエールを送る人情話>

1978年に起こった実話が元ネタになっている。
“放浪の紳士”チャップリンは移民で貧しい我々の味方、だからこんな罪ある行為も許してくれるはず、という発
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

3.8

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<実録マフィアを基に描く、人間の欲望の冷酷な世界>

マフィアと言っても『ゴッドファーザー』のような統制されたファミリーではなくて、もっとドロドロした欲と裏切りに満ちていて、金と女、恨み、妬み、そして
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

3.6

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<移民家族との交流から偏屈老人が選んだ最期>

この偏屈老人の口からは差別用語が飛び交い、目には目をというアメリカ式男らしさを主張する。
しかし、「人殺しは最悪」と戦場で認識したウォルトにとって、それ
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

3.8

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<猟奇犯罪と狂気の精神科医に挑む女性捜査官の追跡劇>

タイトルの「羊たち」が何を指しているのか。
なお、原題はlambsなので、正確には「羊」でなく「子羊」である。
様々な論議を呼んで、中にはかなり
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ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.8

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<嘘と緻密な伏線で味わう騙される快感>

マフィアのボスであるカイザー・ソゼなる人物は居るのか居ないのか?
そして誰なのか?
この謎解きが、シナリオに仕組まれた、現在と回想が交差する奇妙な時間差で、後
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サムライ(1967年製作の映画)

3.8

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<葉隠精神の殺し屋の孤独を描いた仏ノワール>

孤独な殺し屋が、己のスタイルを貫いて自ら死地に赴いていく、そんな主人公を日本の“侍”にイメージさせている。
白い手袋と一度しか使わない拳銃、自分を助けて
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妻は告白する(1961年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

<魔性の女・若尾に見る妖艶にして壮絶な美>

恋の炎に身を焦がす女と、不信感に愛が冷めていく男。
愛のためならどんな犯罪でもするという女と、真実を知り倫理観からそれを断罪する男。
無罪を勝ち得た根拠は
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赤い天使(1966年製作の映画)

4.0

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<戦場における性、極限下の愛をリアルに描く>

戦場という極限状況、その悲惨さと性と生の現実、目を背けたくなるようなリアリズムに徹した映像は、現代では作り得ない(少なくとも商業映画では)凄さを持ってい
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

<若尾対高峰、嫁姑バトルの愛憎心理劇が凄い>

嫁と姑の対立、そのプライドを賭けた情念の凄まじさが静かな火花となって伝わってくる。
息子可愛さの姑の感情は分かるのだが、嫁の心境の変化というのが興味深い
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わたしのSEX白書 絶頂度(1976年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

<堕ちて流され、解放されていく>

このタイトルで少し引いてしまうかも知れないが、ぜひ観て欲しい映画。
ロマンポルノは一部作品を除いて、何となくスルーしてしまう映画が多いが、本作は引っ掛かった感じであ
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キサラギ(2007年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

<オタク心と遊び心で楽しむサスペンス>

ペントハウスの一室で繰り広げられる、舞台を見ているような会話劇で、脚本(古沢良太)の妙味が味わえる。
徐々に素性が明かされ、張られた伏線が回収されていく。
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