ネタバレ
広告の本質〝憑依肥大化する妖怪性”の戯画
製作動機がシニカルなのかシリアスなのか分かり辛いが、広告業界及び広告の悪魔性を描いた作品みたい。
ソ連邦崩壊後のロシアモスクワが舞台。
あっという間に資本経済化し西側ジャンクフード巨大資本も、無垢なロシア市民を毒そうと広告戦略攻勢をかけ続ける。
その広告業界に身を置き、売れっ子プロデューサとして名をはせる主役男子。ある訳アリ出資者の娘(のちに主役男子の恋人となる)の発案で肥満女性の痩身手術という企画を推進するが、手術失敗で麻酔から覚めず昏睡状態になり、当局から逮捕拘留される。
出所後田舎に引きこもり牧童となるが、そこで啓示を受けユダヤ式燔祭の儀式を執行。牛を屠り神に捧げることである能力が覚醒する。
ヒロインの恋人にモスクワに連れ戻されひそかに生んでいた息子に対面させられるが、その息子や恋人が広告の妖怪(膨れ上がっラ欲望の戯画)に憑りつかれていることに愕然。
息子がハンバーガーを食べたがるのもその妖怪のせい。
そのハンバーガチェーン店を潰そうと菜食チェーン店をプロデュースし、牛肉害悪広告を打ってついに巨大ジャンクフード資本壊滅に成功。
勢いに乗って他の業種巨大資本もネガキャン手法で次々潰していくが、ついにロシア当局が動き全ての広告禁止令が発動される事態に・・・・・
痩身手術失敗で昏睡していた女性が、広告禁止令発動で全ての看板が撤去されたモスクワの街中をフラフラ歩いている場面でエンドとなる。
先にも書いたが動機が私企業・私人の皮肉か真剣か? 或いはロシア国のプロパガンダなのか? 果ては第三国のロシア風刺なのか?(英語劇)今一つ分からない。
いずれにしろ分かりやすいシナリオであり、広告妖怪のCG処理も稚拙かもしれないが見慣れると成程なぁというような出来栄え。
ラストの広告という虚飾性が消失した街中で、虚飾的痩身手術を受け昏睡を続けていた女性が息を吹き返しよたよた歩き始めるという場面は、映画内容と呼応した象徴なのは間違いないところ。
であればやはり公私どちらであっても西側資本を快く思わない勢力の「古き良きロシアに還れ」的メッセージと考えるのが自然かもしれないね。
総評2.5の二つ星
002009