青春Hシリーズ第10作目。矢印がすれ違いにすれ違う〇角関係の恋愛劇。如何にその角数を増やして、矢印をしっちゃかめっちゃかに交差させるか。その辺のテクニックがとにかく上手い。本作以前でもそういったテクニックは見られており、そこで繰り広げられる喜劇は、「好き」という感情の優順不断な在り方や妄信的な性質を可笑しく描写する。
特に本作はSEXが絡み、直接的な描写がなされることで、より辛辣で、より滑稽で、より残酷な体相をなしていく。
根本的に男側が滑稽で悲惨な目にあい、女側は強か。その図式でバランスを取る作りは変わらない。
本作以前の短編と違うのは、映画的な見立ての世界を作り出していること。映画ならではのシームレスな流れ。そこでピンポン玉を持って出てくるのが監督というのも良い。
あそこもとにかくバランスが良く、主人公がクソ、だけどピンポン玉をぶつけられてチャラ、みたいな塩梅に笑い混じりに持っていく。言っていることの中身の無さに愕然としながらも、嫌な気にならない、その調整が上手い。