このレビューはネタバレを含みます
"弥生ちゃんこそ、すぐ誰かのものになっちゃいそう。切ないよ、弥生ちゃん。"
ラストシーン、茜色の空の中、陽が発した言葉だ。
陽という名前には、「太陽」や「日」、「生きる」という意味が含まれている。
彼女は母親の男から虐待を受けようが、自分のことは気にせず、弥生のことを気にかける。
切ない終わりを予感しようが、彼女は文字通り太陽のように弥生を照らし続けるのだろう。
弥生という名前は、旧暦で3月を指す言葉だ。
春の訪れを象徴し、「生い茂る」「生き生きとする」という意味合いが含まれている。
そして、春の訪れには太陽の存在が不可欠だ。
最後のシーンに映るのは、弥生の“春の訪れ”なのかもしれない。