オーストリア出身の映画監督の知人が、ブリュッセル時代にもっとも重要な場所だったと言っていた「Cinéma Nova」にて。わたしたちの訪問の折にたまたまロス兄弟の特集が組まれていて、旅先で偶然に見た。このドキュメンタリーとそういう出会いかたができたのがうれしい。カメラはラスベガスの場末のいなたいバーの最後の一夜にたまたま居合わせたにすぎない。まったく普通で、他に二つとしてない時間の存在の美しさに泣く。あの退屈で、なんの実りのない時間にしぶとく付き合ったからこそ染み入ってくる現代人のメランコリー。深夜の花火とか、丘の上の夜明けとか、無意味な取っ組み合いとか、最高すぎる(涙)