近本光司

ミッキー17の近本光司のレビュー・感想・評価

ミッキー17(2024年製作の映画)
3.0
ナウシカの王蟲みたいな造形の「クリーパー」。「グエムル」や「オクジャ」のときも、人間よりは大きいけれど、小さすぎも大きすぎもせず、中くらいと形容するのがぴったりの絶妙なサイズ設定だったが、今回の「クリーパー」の王妃もその系譜。このクリーチャー観はポン・ジュノの何らかのフェティシズムにつながっているのだろう。
 ポン・ジュノのことだから、もっとえげつなくて、ビターな展開に持っていくのかと思いきや、なんだか普通に終わってしまった感じ。ヒール役のマーク・ラファロやトニ・コレットをもっと徹底的に成敗できたんじゃないかなあ。夢オチのくだりも何がしたかったのかわからず、そこかしこの中途半端さにハリウッドの映画製作でいろいろ困難があったのではと勘繰ってしまう。これでまたクリーチャー欲は満たされたと思いますので、つぎはまた『母なる証明』とか『殺人の追憶』みたいなサスペンスものを撮ってほしいです。