キャロル・リードの手腕に引き込まれる
『第三の男』の名匠キャロル・リード監督が、それ以前に不安定なアイルランド情勢を描いた犯罪ドラマでありサスペンス映画。1日一晩の8歯間にわたる話であり、降りしきる雨もいつの間にかやがて雪へと変わっていく。刑務所での8ヶ月と脱獄してからの隠れ家での6ヶ月を経て、初めてのショバでの仕事を任されたリーダー格のジョニーが一応主人公ではあるが、作品の中核を成すのは、怪我を負いながら逃げる彼を処置したり匿ったり密告したりする一般の人々の反応である…肉体と魂とお金。何より彼を愛して、どうにか彼に会いに行こう、逃がそうとする女性キャスリーンの存在。現実の君なら俺に手を伸ばしてくれ…手負いのジョニーが見る幻覚のイメージの視覚化も面白い。そして、魅惑的に伸びた影の中で通りを走る逃走シーンや、角度をつけたカメラアングルなどは『第三の男』を彷彿とさせた。
雨→雪
銃、鳥