しーかず

イン・ザ・ベッドルームのしーかずのネタバレレビュー・内容・結末

イン・ザ・ベッドルーム(2001年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

心揺すぶられる作品だった。アメリカのスモールタウン、港町という世界観も好きだし、それらを活かしたロケーションや映像も素晴らしい。主人公だと思っていたフランクが殺されてしまうのはショッキングだし、事前にあらすじを見なくて正解だった。それも前半でフランクがいなくなったことによって、遺された両親の喪失感や虚無がずっと続いていくのがとても辛く胸が痛かった。フランクのキャラクターが誰にも嫌悪感を抱かれなさそうな控えめで可愛らしい好青年だというのも不憫さに共感してしまって余計辛い。良い両親の下でしっかりと育った何の罪もない子が荒くれ者によって一瞬で人生を奪われてしまうやるせなさ。それによってこちらも何の罪もない両親が互いに"ああしておけば"というような後悔や罪悪感を抱いている様子もあって理不尽に思った。感情を表に表現する母と、表では気丈に普段通りを装いながらも内に怒りや悲しさを秘める父の構図もリアルで良かったと思う。最後の展開も予想は出来るし派手ではないんだけど、全体的な空気感がとても好きな作品だった。
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