ピーちゃんさんの映画レビュー・感想・評価

ピーちゃん

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宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.3

痛々しいほどの感情のぶつかり合いにしばし呼吸を忘れることが何度かあり、その瞬間が、この映画からの最大の収穫だった。

役者の力に畏怖の念のようなものを感じさせる演出・撮り方が徹底されていたと思う。
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.8

(映画が終わって、その衝撃を忘れないうちに勢いで書いているので、文章がめちゃくちゃかも。雑でごめんなさい。咀嚼がある程度進んだタイミングで、加筆するかもしれません。)

ウェス・アンダーソン作品は、割
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

2.9

確実に人生と重ね、ズブズブ入り込んで日常生活にダメージを引きずる自信しかなかったので、長らく見るのをためらってきた…のだけど、

思いの外スッと線を引いたところに自分が立っていて、拍子抜けしてる。
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I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)

4.0

満を持して。

淡々と、シンプルな文体で、1人の女性の人生が綴られる。

世に生を受けてから、その生を終えるまで、一貫して彼女の姿は変わらない。
老いていくのは周りの人間だけ。

自分自身の内側から自
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

2.9

ジャームッシュの会話劇とは相性が良くないのかも。
「コーヒー&シガレッツ」も途中離脱。

ストーリーのある「ブロークン・フラワーズ」は確か面白くみた記憶があるのだけど。

はじめのウィノナ・ライダーと
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.3

「ミリオンズ」然り、「スラムドッグ・ミリオネア」然り、寓話性の強いダニー・ボイル作品が大好きなので、ずっと観たかった一本。

ビートルズが世に出た時に、残念ながら私はまだ世に出てなくて、ファーストイン
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図鑑に載ってない虫(2007年製作の映画)

2.8

三木聡監督のゆるくてくだらない雰囲気がとても好きで、観るのをとても楽しみにしていた作品。

ゆるくてくだらないのは期待通りだったんだけど、残念ながらいまいち入り込むことができなかった。
独特の世界観の
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悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

3.5

社会復帰と引越しでめちゃくちゃ期間が空いてしまった。
久々の映画に選んだのは、トビー・フーパー。

いつ観ても恐ろしい。
「見せない」演出がとてつもない効果を発揮する実例No.1なのではなかろうか。
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海炭市叙景(2010年製作の映画)

3.3

キリッと冷たい北国の空気が画面を通して伝わってくるところに、終始呆気にとられていた。

熊切監督の作品は、「ノン子36歳(家事手伝い)」に次ぐ2作目なのだけれど、街の風景の撮り方がどっちもすごく良いな
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誰も知らない(2004年製作の映画)

3.0

昨年一年、これまでほとんど観てこなかった邦画を観るようになった中で、西川美和監督と、是枝監督の作品にはとても心を動かされたわけで、ということは、この作品に対しての期待度って半端じゃなく高かったわけで。>>続きを読む

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年製作の映画)

3.8

主人公オスカー君の演技がものすごく良い。オスカー君は、幾度となく感情を爆発させるんだけど、毎回その爆発に引っ張られて、胸が張り裂けそうになる。

タンバリンの使い方、現在と過去の往来や、オスカー君だけ
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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

3.5

めちゃくちゃ面白かったんだけど、どう考えてもぶっ込みすぎてるように見えて、終始ヒヤヒヤしながら鑑賞。

ブラックなコメディかと思っていたら、とても恐ろしいお話だった。

メタ構造のために、現実と虚構が
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スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)

3.2

2020年1本目の映画が果たしてこれで良いのだろうかと自問自答しながら鑑賞。

くだらないこと以外は極めて真面目でシリアスな、くだらない映画だった。

ダニエル・ラドクリフ君が魔法使いと同じくらい便利
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

4.0

妻を事故で失って、悲しいかどうかすらよく分かってない主人公が、文字通りに全てをぶっ壊して、それから再構築する話。
私の文章力でかいつまんでしまうと、全然面白そうに聞こえないんだけど、とんでもない。傑作
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イカとクジラ(2005年製作の映画)

3.2

数年来、ずっと観たかったのに機会を逃し続けていたのだが、ようやく鑑賞。
上記により、もともと期待値ものすごく高めで臨んだことも影響しているのだけど、終始ボンヤリしたままだった。

すごく嫌いなわけでも
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グラスホッパー(2015年製作の映画)

1.8

原作読んでないんだけど、たぶんこれ原作は面白いんだろうな、と想像しながら鑑賞。
本当に予測の域を出ないんだけど、原作で観念的だったであろう部分の描写があまり上手くいってないのかなぁと思う所が多々あり、
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ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

3.1

ショーン・ペンと、ティム・ロビンスの纏う、どんより重苦しい空気が苦しくなるほどに伝わってくる。演技って空気の色まで変えることができるのね、と改めて驚嘆。
特に、ティム・ロビンスの絶望に少しの希望を加え
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.8

文句のない傑作だった。
「血のつながりって大事ですか問題」繋がり、かつ疑似家族になった経緯が法の道踏み外したというところで共通している「八日目の蝉」がまるでダメだったので恐る恐る鑑賞したのだけど、全然
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トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

3.5

グザヴィエ・ドランはとっても好きなのだけど、実は本作だけまだ観れてなかった。
やっと鑑賞することができました。

とにかく、怖かった。

死んでしまった恋人のお葬式に参列するために、恋人の実家を訪問。
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転々(2007年製作の映画)

3.3

時効警察の波に乗って、初めての三木聡。

映画的ににどうこう、とか表現手法が、という感じではないけど、とても面白かった。
土曜の夜にビールでも飲みながら(わたしは飲めないけど)ゆるゆる過ごす時間と相性
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サスペリア(1977年製作の映画)

3.5

サスペリア2がめちゃくちゃ好きで、ずっと観たかった作品を、満を持して。

最近リメイクされてたけど、ここはダリオ・アルジェントバージョン一択。

とてつもなくかっこいい。
大胆な原色の照明も、グロテス
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月に囚われた男(2009年製作の映画)

3.7

わたし、宇宙に人がいるのとか、ずっと宇宙とか、さらに一人芝居とか、苦しくなっちゃってあんまり得意分野ではないのだけど、評判の良さとジャケットのデザインのかっこよさで鑑賞。

もう、苦手要素だらけなので
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ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)

4.2

2度目の鑑賞。
本作で1番好きなのはオープニング。
レコードプレイヤーから流れる管弦楽曲と、家の断面を縦横無尽に移動するカメラ、そしてタイトルドーンでもう大興奮。

ストーリーは、実は他の作品の方が好
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ノン子36歳 (家事手伝い)(2008年製作の映画)

3.0

熊切和嘉監督作品を初めて観てみた。

夜の街に伸びる自転車に乗った影や、画面いっぱいのひよこなど、画が面白かった。

絶妙な田舎加減の街並みも、長回し向きな間取りの家も(大好物の実家っぽいごちゃごちゃ
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.0

初めてのジョン・キャメロン・ミッチェルの作品。
前情報入れずに観た私が悪いんだけど、世界観にもストーリーにも全くついていけず、非常に面食らった。
高尚なメタファーか何かなのかしら。

あまりにもナナメ
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

3.2

認知症の老人が、戦時中アウシュビッツで家族を殺された復讐をするために、老人ホームを抜け出してナチの戦犯を探しに行く話。
ほぼ老人男性ばかりしか出てこなくて、視覚的にも面白い演出があるわけでもなく、お世
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さよなら、ぼくのモンスター(2015年製作の映画)

3.4

始めの1時間くらいは、再生ボタンを押したことに後悔してたんだけど、最後の最後に印象がガラリと変わった。
序盤からのなんかちょっとよく分からない鬱々悶々とした感じは、ラストの解放感のための助走だったのか
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サブマリン(2010年製作の映画)

3.3

ベン・スティラー製作総指揮ということばにやられて、鑑賞。
童貞少年が恋に落ちたり、両親の夫婦仲を修復しようとしたり、妄想したりする話。
ティーンエイジャー特有の夢見がちさと、じめじめした湿度のようなも
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TOKYO!(2008年製作の映画)

3.4

普段はミシェル・ゴンドリーの大ファンなんだけど、本作に関しては断然ポン・ジュノの作品が大好き。

カメラワークと光の使い方が素晴らしい。

特に、冒頭の長回しには大興奮。
家の中を移動するカメラ、同一
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重力ピエロ(2009年製作の映画)

3.5

昔、原作を読んでいたのにすっぽり抜けてしまっている状態で鑑賞。
正直、そんなに期待はしてなかったんだけど、話がものすごく良くできていて面白かった。
遺伝子を超えた、とても素敵な家族の物語。
独特の倫理
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スリーパーズ(1996年製作の映画)

3.9

中学生の頃、地上波で放送されていたのを観て衝撃を受けて以来、ずっともう一回観たかった作品。やっと観られた!

私の中で世界二大ブラッドである、ピットさんとレンフロさんが、これでもかというほどに麗しい。
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ツォツィ(2005年製作の映画)

3.0

人とか殺しちゃうくらいの札付きのワルが強奪した車に赤ちゃんが乗ってて、血も涙もない主人公が血と涙を取り戻す話。

親から愛情を充分に受けることができずに育った主人公が、赤ちゃんに幼い頃の自分を投影し、
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ブラザー・フロム・アナザー・プラネット(1984年製作の映画)

3.8

大好きなSF映画。
SFといっても、クールでファンシーなCGは出てこなくって、アナログな撮り方をしている。工夫がいっぱいで、そこがとても好き。

主人公の宇宙人、ブラザーも足の指が3本なことと、話さな
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イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)

4.0

10数年振りに2度目の鑑賞。
えらく良い映画だった記憶があったけど、2度目の印象も、それと変わらず。もっと早く観返せば良かった。

ニュー・シネマ・パラダイスにも通ずるところがある気もするけど(そして
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歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

3.5

高台から見える電車と、黄色い蝶々がとても美しい。
とても「実家っぽい」家の内部の美術と相まって、非常にノスタルジックな世界を創り上げていた。
特に、家の中の美術は秀逸。息子の部屋の物置感、未だに貼って
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.6

呼吸をするのも忘れてしまいそうになる程、とても繊細な物語。
これといった出来事は起こらず、ただただ淡々と主人公の心の動きが描かれていく。

身体のパーツのクローズアップで、2人の距離感や心の動きが巧み
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