「ミリオンズ」然り、「スラムドッグ・ミリオネア」然り、寓話性の強いダニー・ボイル作品が大好きなので、ずっと観たかった一本。
ビートルズが世に出た時に、残念ながら私はまだ世に出てなくて、ファーストインプレッションの熱狂をリアルタイムで体験できてない。
女の子が失神するモノクロ映像が、Likeやコメントが飛び交う鮮やかな映像に置き換わり、当時のムーブメントを追体験した気持ちになれるのは、すごく良い。
誰もが一度は考える(そうでもない…?)「ビートルズが存在しなかったら世界はどうなっていたのか」問題をモチーフにしている着眼点にはもはや共感しかないし、私もハートを飛ばしまくりたい。
でもね、こんな壮大なテーマ扱われると、鑑賞前の期待値が高まりすぎて。
「えらいこじんまりラブストーリーにまとまってるな」という印象と、なんとも言えないもやもやに苛まれてる。
雑なラブストーリーをぶっこむんじゃなくて、自分のクリエイティビティの外側で名声が独り歩きすることへの葛藤とか、ビートルズのいない世界の描写とか、もっと丁寧に掘り下げたら、深みが出そうなのに。
あと、もうこれはただのビートルズファンの呟きなのですが、楽曲礼賛が独り歩きすると、同時に名曲を生み出したのがあの4人であったことの意味がどんどん削がれてしまう。