トケグチアワユキ

Gorillaz:ソング・マシーン・フロム・コングのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

4.5
コロナパンデミックにおける、Gorillazのワールドツアーに代わるプロジェクトだと思われる配信ライヴショウを、映画館の大きな音と画で観るというのがコンセプト。
配信ライヴショウをリアルタイムで観られないファンへの配慮アンド集金てこと?

正式なタイトルは、
"Gorillaz presents Song Machine Live From Kong in Cinemas December 8 & 9"
たぶんこの上映も世界同時のプロジェクトなんだろうと思われる。
どうしてもアーカイヴを残すわけにはいかないのねぇ? 音楽業界は。
ディスクにして売った時代は遠くなったね。

先に言いますが私はGorillazのことが好きだからいいけど、知らないなら観なくていいよ。訳わかんないだろうし。
Blurのデイモン アルバーンのサイドプロジェクトであるところのバーチャルバンドのスタジオ収録された配信用ライヴ(VFX加工済)、とか言われてすんなり理解できる人が観るモノ。
さらに、有料配信時のパッケージが150分で実際のライヴは70-80分なので、そこまではヒット曲を聴きながらコメンタリーのふたりによる、主に思い出バナシを聞かされる。
で、そこまでをセットで映画館上映したと。
みなさんレビューでおっしゃっている通り、最初の1時間は蛇足っつーか、家で配信待ってる人向けのフィラーだからな。
何でこんなものまでくっつけたのか、そこは確かにギモン。
まあ、だいたい想像ついてたから、気ィ抜いて懐かしい曲をこっそり口ずさむワタクシではありました。

Gorillazが来日公演することなんて、さらにそこに立ち会えるなんて、もうほぼ可能性がないから、私は観られてすごく満足。
いま、海外のバンドがアジアツアーしても、(コロナとは関係なく)日本だけ飛ばされるんですよ。知らないかもしれませんが。
昔は真っ先に東京でしたが、いまじゃオーストラリア、韓国、香港(もう無理か?)、シンガポールなんかのついでにまあ時間があればホンモノの寿司屋でも行ってみる?って感じ。

ここで音楽的な偏向の話をしても場違いなのを承知でちょっとだけ書きますが、やっぱイギリスのブラックミュージックはすごくレゲエの影響が大きいね。ていうか、ブルース、ジャズ、ソウルの土壌がないのかな? ゴスペルとかもないのか?
アメリカのヒップホップとすごく違う。
私はもともとレゲエ好きですからそこはすんなりなじみますけど、アメリカのブラックミュージックしか聴いてない方々は、このなんとも微妙な湿気と訛りを気持ち悪く思わないのかな?
だいたいロックとブラックミュージックの近さがアメリカのそれとはまったく違う気がする。
ここんとこイギリスはジャズーエレクトロ方面ばっかでブリティッシュロックから遠ざかってたので、そんなことを改めて感じたし、この生乾き感がサイコーだな。

映像作品としての評価は、バーチャル加工も含めてまあ普通。驚くような発見もない。
だから評価するならこの音楽が好きかどうかだけ。
音楽的な解説が付いた状態で観たい気もするが、純粋にライヴはライヴとして観られたことも価値あることだったと思う。

最後に、あくまでもファンのためのものです。
この作品に低評価を付けてる人がもしもいたとしたら、それは知りもせず観るそいつが悪いと断言します。