テロメア

ワールド・ウォーZのテロメアのネタバレレビュー・内容・結末

ワールド・ウォーZ(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

お金の掛かったB級映画。

テンポ良く話が進み、主人公家族は安全な船に置いてくることで余計な心配無用になり、さらにテンポ良く生き残った希望のウイルス学者を連れて飛び立つのだが、ウイルス学者は速攻でまさかの滑って転んでバンッと死亡。ゾンビ映画でゾンビ以外の死因という残念さ。そこで悟ったのは、これはB級映画のノリだ、ということだった。

しかし、その後、安全な船から主人公妻が主人公に無駄な折り返し電話。それによる危機。大塚芳忠ボイスで「携帯電話の電源は他のお客様のご迷惑になりますのでお切りください」と言われる流れはギャグシーンである。しかし、その後は真面目にたくさんお亡くなりに。てかさ、ゾンビがいる戦地に向かった主人公になぜ掛けるんだ、て話。

他にもイスラエルでは、助けてもらうためにやってきた難民たちが歌い出してゾンビが壁を越える始末。その前にイスラエルのおっちゃんが「一人助けるとそれだけゾンビが減る」とか、なんかかっけーこと言っていたのになぁ、なシーンに。そして飛行機では、犬が吠えてノックなどの確認作業もなく開けて、飛行機でのゾンビパニック。さらには、カバンを落として気づかれるおっちゃん。さらには、その後の病院にての決死の作戦中に、めちゃくちゃ不注意で音をガンガン鳴らしまくるおっちゃん。って、これなに?

生存者にヘイトを溜めるような演出はあかんだろうよ。不注意で死んだウイルス学者はギャグだとしても、他はギャグになっていない。この映画はシリアスとB級コメディの間を行ったり来たりするので、結局、面白いB級コメディになることもなく、残念なままエンドロールを迎えてしまった。てか、不死身なブラピが時々負傷するけど、次のシーンには忘れて動き回っているのとか、負傷する度に人間アピール(往年の映画でシュワちゃんやスタローンがよくしていた、終盤になるとちょっと怪我するが、次のシーンでは忘れられている、あれ)としか思えん。これだけしておいてシリアスを装うんだから、めちゃくちゃもったいない。もっと真面目にB級コメディにいってほしかった。

あと、最後のカモフラージュ作戦は、たぶんどれを打っても良かったのでは、と思う。とにかく、致死性のウイルスがダメなのだろう。今作を観ていて思ったのが、今作のゾンビウイルスは肉体を殺しているのではないと言うこと。その作戦時に、博士の一人が「何を打っても死者には無駄。循環しない」と言っていたが、これは死んでいると思い込んでいるのでは、と思う。そのゾンビウイルスに感染すると、他のウイルスを死滅させ、自分らのウイルスのみが生存可能な状態にするのでは、と考えると納得がいく。すでに他のウイルスが蔓延している肉体では、ゾンビウイルスは勝てないのでスルーする。しかし、自分らが蔓延している肉体では他のウイルスに勝てる。そう考えると、作中のセリフにも矛盾しないし、ブラピが一本しか打っていないのに、正解を引き当てる理由にもなる。どれでも良かったわけだ。先に肉体に充満していて、ゾンビウイルスが勝てない状態ならば。なので、これは別にダメだとは思わない(博士の一人が示唆しているセリフがあれば一番良いのだが)し、ゾンビウイルスに対してカモフラージュワクチンという発想がいい。

だけど、他がシリアスともB級コメディともつかないのが多すぎて、うーん、と。もったいない映画でした。何よりも、生存者にヘイトを溜める演出が多すぎるのはいかんだろう。ゾンビよりも生存者の方が何をするかわからなくてハラハラするし。カモフラージュ作戦以外は、特に目新しいことはないかな。なんだかんだ楽しめた分、やっぱり、もったいない映画でした。
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