テロメア

ゴジラvsコングのテロメアのレビュー・感想・評価

ゴジラvsコング(2021年製作の映画)
4.2
怪獣映画の人間ドラマは最小限でいい、というのが怪獣映画ファンの共通見解だと思います。特に怪獣同士のバトルものは。私もそう思うし、今作を見る限り(1時間くらいでしたっけ?)カットされたというらしいが、残っているシーンでもまだまだ無駄が多い。残っている人間ドラマがこのクオリティで、あと1時間もあったかと思うとゾッとする。

当たり前ですが、最小限の人間ドラマでいいといっても、クオリティが低くていいという問題ではない。本作に残っている人間ドラマでモナーク側がほぼすべてカットされたのだろうゆえに、モナーク側の博士の娘というモナーク本筋の枝葉エピソードのみが残っているという脚本的お粗末さが酷い。これが面白ければよいのだが、ネットに転がっている(しかもリスナーがほぼいない)痛い陰謀論者にどハマりする痛々しい小娘だから終始映画のノイズでしかない。しかも、陰謀論の三馬鹿トリオが的外れな陰謀論を根拠に最後のちょこっと活躍っぽいことをするだけ。必要なエピソードではないだろうに。

あと最後に三馬鹿のまだまともっぽい少年が小娘に散々付き合ったあげく、その父親博士に「うるさい黙れ」的に怒られるシーンが謎。普段から言い訳がうるさいのかも知れんが、モナーク側はカットされたからそうした普段は知らんわけだから、理不尽に怒られて可哀想にしか見えない。とんでも親子には付き合うのやめなよ、と感じるシーンになっていた残念さよ。

(以下、ちょいネタバレ)
最後の怪獣バトルに人間がちょこっと手助け展開をしたいなら、逆流感電死した小栗パイロットが死を回避して(あるいは朦朧とした死の寸前に)、メカゴジラの動きに無理やり介入してやればよかったのでは、と思う(パイロット席にせっかくいるし)。そうすればもう15分は削れただろう、三馬鹿トリオがやる必要性はない。100分映画になれば怪獣バトルだけにより集中できて傑作だったろうに。

大怪獣バトルシーンは派手で楽しい。本作の本分はやり遂げている。ゴジラもコングも最高だ。香港のネオンバトルも最高だが、明るくなってからのバトルもいい。人間ドラマのノイズを無視すれば、本当に楽しいお祭り映画でした。これが最終カット版で今後ディレクターズカットはでないというが、よりカットしたバージョンもぜひ出してほしい。


追記。
細々気になったのが、南極にいるのにその防寒装備で大丈夫か、という女の子たちや、未知の地下空洞世界でノーガード戦法で降り立つ人々よ。酸素確認はコングでできたかもしれんが、と無理やり納得しようとしたが、未知なるウイルスや細菌はわんさかいるだろうに、と余計なことを考えてしまった。こうした細々したところを気配りできない製作陣なんだなぁ、と残念に思いつつも、いやいやいや、この世界の住人は巨大化の何かしらの謎エネルギーを知らぬ間に浴びているだろうから、きっと頑丈なんだろう、と私は信じている。この世界の住人は『頑丈』なんだ! だから、上記の問題を軽々乗り越えたのだ。多分。

書き忘れのいちゃもん。
メカゴジラのデザインが酷い。動く前からデザインは知っていたが、動けばかっこいいのもあるので見てから判断したのですが、動いてもやっぱりダサかった。ハリウッドに行ってゴジラはマッスルゴジラにボリュームアップしたのに、メカゴジラはガリッガリになってしまったのはなぜだ。メカゴジラに対する愛がゼロだよ、これ。てか、ロボやメカに対する愛もないんだろうな、とも思う。地下空洞探検機もパッとしないデザインだし。手数の多さは面白かったが、如何せんデザインだよ。造形美だよ。ドラクエのがいこつ兵とか、マリオに出てくる砕けても復活するガイコツのカロンみたいな巨大ロボってなぁ。人間ドラマもだが、個人的にかなりの残念ポイントだった。何回か観れば愛着が湧くかもしれんが、映画一回目は、という感じです。
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