テロメア

コスモボール/COSMOBALLのテロメアのレビュー・感想・評価

コスモボール/COSMOBALL(2020年製作の映画)
4.5
ヴィランの娘が一番可愛い、往年のハリウッド映画。

アメリカ映画ともヨーロッパ映画とも違う色彩感覚があるため、ロシア映画の特にSFはそれだけで見ていて心地がいい。自分の肌に合うのか、セットの部分はイマイチな感じだが(漢字の『水』の配給員とか、警察の『警察』とか。中途半端な多文化はもっと頑張ってほしかった)、CGシーンは鮮やかで綺麗だった。『アンチグラビティ』でも思ったが、色彩感覚がいい。

ただ、コスモボールの試合は最初のシーンだけで、あとは空中でしていたのがもったいない。もっと、コスモボール戦をメインに見ていたかった。

他にいいところは、ハリウッドとかの多様化うんぬんのアレなせいで、映画という非日常を見たいからこそ、俳優は綺麗どころが揃っているという心地よさがなくなってしまった残念感が今作にはない。ヒロインはみな綺麗で見ていていい。外見至上主義だとかいうが、見せ物の映画なのだからそらそうだろうよ、て話。綺麗なお姉さんから綺麗なおばさん、綺麗なお兄さんから筋骨隆々なおっちゃんやじいさん、突き抜けてかっこいいばあさんとか、そういうのを映画で観たいんだから。それ以外は、家から出るか鏡を見たら見られるからいらないんだよ。ドキュメンタリーじゃあるまいし。

ただね、主人公の性格がゴミクズ上等なのが、どう考えても童貞を拗らせているからなのにそれの描写不足。冒頭の水配給シーンで災難に遭うが、これを女の子といい雰囲気になっているところに災難に遭い、逃げられて「クソ、またかよ!」とかのシーンなら、見ている側も「あー、童貞拗らせとるな」と分かるんだけど、ただの水じゃあねえ(貰えてたし)。あのヴィランの娘っ子はさ、ずっと見てきたって言っていたわけだし、他の女とくっつこうものなら邪魔するよ、絶対。しかも、一番可愛いセリフが「この姿を見せて嫌われるのが怖かった」だぜ? ネタバレだけど、なぜこの子とくっつかんのじゃ。それが最大のマイナス点だわ。てかさ、主人公が覚醒するシーンも、上記の可愛いセリフのあとに、主人公が「(今まで邪魔した分)覚悟しろよ」とかで、ちょめちょめな暗転シーンがあってだな、それにより覚醒。今までのゴミクズ上等野郎から、みんなの頼れるヒーローに、てシーンでいいじゃん。往年のハリウッドっぽくて。やっぱり、くっつくべきはヴィランの娘の方だったって! 主人公、エンドロール後でもいいから考え直せ。

あと、もう一人のヒロインっぽいよくわからんチームメイトは、ただのダチでよくないか。それこそ今時っぽいと思うのだが。まあ、そうした結局、同じ人種とくっつくのな的なのも含めて、往年のハリウッド映画だよ、これは。昨今、頭空っぽにしてぼへーと見られる映画が激減して、どーでもいいアクション映画ですら、社会派的なプロパガンダを込めてくるから鼻につく多様性万歳映画群とは違い、ちゃんと娯楽作として見られるから今作は良い。妻は『イナズマイレブン』みたいと言っていて、ちゃんと見てもよかったかもとも言ってたくらい、そこそこ流し見で楽しんでいた。あと、マスコットキャラが可愛い。ラストのでかいワンちゃんも。

子育てしながら流し見るには、やはり要らんプロパガンダのない脳筋映画か、頭空っぽ系娯楽映画が一番だと思う。どっかんばっかんしてたら、子供も何気に見ているし。あたまぼへー映画としてはお勧めです。


追記。
私の脳内では、ラストシーン後に何かを思い出した主人公が、日本の昔のメロドラマのラストみたいに懐メロ(ここはロシアの懐メロで)とともに走り出し、空から降ってきた繭に包まれたメインヒロイン(ヴィランの娘)を抱き止めて、二人とも笑顔でキスして終わるというシーンまで流れました。てか、あのよくわからん繭のは、監督とか製作陣の思い入れの産物だと思う。なぜ、あのカップリングなのか。今からでもエクステンデッド版で追加シーンやってくれ。
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