Yumyum

ニモーナのYumyumのネタバレレビュー・内容・結末

ニモーナ(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ディ◯ニーがお蔵入りにした作品。という前評判があっただけに期待していたが、期待以上に良すぎて特に後半はダクダク泣いてしまった。

マイノリティに優しい映画
社会生活において何かしらの「居心地の悪さ」を感じた経験がある人間はささるのでは?

ゲイの(マイノリティ)エスカレーター式ではなく民間から出てきた(マイノリティ)パキスタン系(有色人種)に見える(マイノリティ)主人公がテロ犯にされたばかりか腕を切り落とされて障がい者(マイノリティ)になる、なんて初っぱなから辛すぎ展開で唸ってしまったが、ニモーナ登場からテンポがよいストーリーであれよあれよと引き込まれて見てしまった。

「ジェイコブと海の怪物」に引き続き、差別と「隠謀論」の話だった。

隠謀論主導者が「女」なのがいまいちピンとこなかったが(リアルでの隠謀論者の有名どころが男ばかりなので…)「差別主義者は隠謀論がすき(差別主義者は隠謀論との相性がよい)」なんだなーと改めて思った。
ソース(または史実)の確認、大事。

ブラックパンサーの「賢者は橋をかけ、愚者は壁をつくる」という名言を思い出してしまった。
(当時のアメリカで隠謀論者が大統領に就任していて、国境に壁を作っていた史実も相まって)
「壁」はリアルの壁を指してもいるんだろうが「心の壁」にもかかっているんだろうな、とニモーナをみながら改めてそう思った。
隠謀論を信じ相手をよく知ろうとも見ようともせず「壁」をつくる。だから差別につながる。

ニモーナが「変身を我慢するとむずむずする」という表現も良かったな。
トランスジェンダーや他セクシャルマイノリティが「セクシャリティ」を隠して生きざるを得ない社会での生存戦略行為における「むずむず(居心地の悪さやつかざるを得ない嘘に)」に通じるなと思った。変身したいけど変身したら「差別される」からできない。

ニモーナ=トランスジェンダーなのかなと思った。

我々のリアルな世界でいう「トランスジェンダー」を「人間以外にもなんにでも変身(トランスフォーム)できるトランスジェンダー」として表現しているのかな?と。

だからニモーナにかけられる言葉が「変身しないでいられないの?」「女の子のままでいられないの?」「モンスターだ」「怖い」などなど…とリアル世界で生きるトランスジェンダーにかけられる差別的で偏見な言葉、そのままなのかな。
(個人的にはニモーナのセクシャリティはノンバイナリーかな?と思って見ていた)

後半、ニモーナがマイノリティー故に周囲からの仕打ちに対しての「怒りや悲しみ」から巨大化(感情の暴走化?)するのだが、その「怒りや悲しみ」の行き着いた結論が「自死」になるのがリアルすぎてボタボタ泣いてしまった。

世界に絶望して死にたくなる気持ち、わかるよ。
それを止めてくれたのが「大人」なのが良かった。

ニモーナは長く生きてるとはいえ「子ども(適切なケアをされてこなかったために精神面が)」だと思うので、これからは主人公たちカップルとワイワイ暮らしてほしいな、と思った。
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