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アイアンクローのyokoのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
4.3
父親が毒親と言われすぎているかな。母親も同罪なのだが。だから冒頭で拳銃と並んで十字架が鎮座しているのだろう。父親はむしろ欲望、権力が表層に見えている分悪としてマシなのでは。家父長制とよく例えられるが夫婦の関係は作品内では夫に抑圧されている可哀想な妻には見えない。彼女も旦那同様子供たちをコントロールするがケツは持たないというスタンスを取る。最悪コントロールするなら最後まで弱っている時も面倒を見て欲しいものだ。

私たちはプロレスを馬鹿にしている。ガチじゃないと。MMAの方がリアルファイトだと。こと映画においてはプロレスの方が親和性が高い。MMAの映画をたまに見かけるがやっぱ面白くない。瞬間瞬間変わりゆく攻防のはずなのにターン制のよう演出しなくてはいけない。はい避けてくださいと言わんばかりのフック。格闘技の動きにケレン味がない方が動きとして優れているはずだが、技の起こりを描かなくてはいけない、そういうのがリアルファイトを謳うには映画では安っぽく見える。しかし日常テレビでプロレスを観ているときポール登っている間に逃げろや!的な欺瞞が、映画そのものがリアルではないので、MMAの映画のようなミスマッチを感じない。裏のある虚像、使えない筋肉、リアルじゃない、見栄えのする動き、というテーマがそのまま映画にスライドできる。
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