Emma

風と共に去りぬのEmmaのレビュー・感想・評価

風と共に去りぬ(1939年製作の映画)
4.5
これぞ永遠の名作。どんなに不幸に打ちのめされても強く生き続ける主人公、スカーレットの壮大な物語でした。
彼女は酷く自己中で我儘な女なのだけれど、何事にも真っ直ぐで生きる情熱に溢れている。「神に誓います。二度と飢えに泣きません」と夕焼けを前にするシーンは鳥肌もの。
一方、彼女の恋敵とされるメラニーは人間とは思えないほどの聖人。誰に対しても心優しく、広い視野を持つ賢い人。スカーレットとメラニーの関係性の変化も素敵。
レット・バトラーも冗談ばかり言う皮肉屋のようで、実は愛や情熱に溢れた人であるとわかる。登場人物全てが魅力的で実にリアル。皆何かを抱えていて、必死に生きている。奴隷制を美化しているとの指摘があるとおり、確かに南北戦争以前の白人たちの優雅な暮らしを、奴隷たちの悲惨な暮らしを抜きにして鮮やかに美しく描いてる点はどうなんだろう、という気もする。
とはいえ、そんな風な犠牲の上で気ままに暮らしていた白人たちの世界は風のように去り、自力で生きていかなければならなくなる時代、つまり南北戦争後の復興がテーマとなる作品なのでそこを細かく描くとテーマから外れる気もする。
いずれにせよ、スカーレットにとってマミーやビッグサムなどの元奴隷たちは家族同然だったのは間違いないと思う。父の形見の時計を授けたり、互いの心身を思いやったり。
とにかく、自分は彼女の土地に対する愛情や強く生きる姿が大好きだし、これからも胸を張って『風と共に去りぬ』が好きな映画だと言い続けると思います。

余談だけど、自分は『南部の唄』も好き。
『風と共に去りぬ』でアカデミーを受賞したハティ・マクダニエルさんが出演していたり、同じFOXシアターで上映されたり、また、南部の再建時代を描いたという点でも、意外と縁の深い作品なのです。アニメパートの主人公ウサギどんは自意識過剰で周りを振り回すけれど、いつも自分の気持ちに真っ直ぐな性格。それがどこかスカーレットに重なって、結局自分は聖人よりも、こういうタイプの主人公が好きなんだなぁと思いました。
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