shabadaba

惑星ソラリスのshabadabaのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
-
タルコフスキーの映画の中で1番有名な気がするけど、1番の駄作という感じがしなくもない。ショット一つ一つに一貫性みたいなものがあまり感じられないし、蓮實重彦が「芸術家としては尊敬するけど映画以外の何かを信じている気がする」と語ったのはすごい的確だなと思う。

後期の作品になるに連れて、メッセージ性が削ぎ落とされて即物性が際立っていくけど、この作品に関しては正直、ごちゃごちゃ言ってんな感が強すぎて、スタニスワフ・レフが怒ったのも納得がいく。

唯一いいと思うのは、ハリーが蘇生するシーン。タルコフスキーはあまり生々しいものをカメラに収めるのが得意じゃないような気がするが、ここだけはエロスとタナトスが混じり合ってズラウスキー的な気持ち悪さが滲み出てる。

ここまで結構貶したが、やっぱりタルコフスキーという作家に関しては今こそ、その美学的意味を再考すべきだと思う。というのも、センスがすごい現代的というか、わかりやすく「インスタ映え」みたいな映像を70年代で作り上げてしまっていて、ロジャー・ディーキンス、ホイテ・ヴァン・ホンテマ、エマニュエル・ルベツキあたりの現代のハリウッド映画のルックを作り上げてる撮影監督たちに強い影響を与えてるのは興味深い。
shabadaba

shabadaba