shabadabaさんの映画レビュー・感想・評価

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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

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どこまで庵野が関与しているのかわからないので、なんとも言えないけど、やはり庵野という作家は基本的にトップダウンかつワンマンでないと『シン・ゴジラ』レベルのものは作れないんだろうなというのが正直な印象。>>続きを読む

Frost(原題)(2017年製作の映画)

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人間同士の関係(主人公と彼女)、国同士の関係(リトアニアとウクライナ)、画面同士の関係(映画画面と映画内のスマホ画面)の関係が絡まり合いながら物語が展開していく。インテリどもの会話劇、それに伴う主人公>>続きを読む

グレイテスツ・ヒッツ(2012年製作の映画)

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映画前半は主人公がまだ子供の頃に家を去った父親が突然帰ってきて、困惑する家族の様子が描かれているが、中盤でカメラ手前から監督の声がガビーノ・ロドリゲスに向けられると共に、ナラティブが一気に瓦解する。父>>続きを読む

GUO4(原題)(2019年製作の映画)

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ミュージックビデオらしいが、音楽自体はインダストリアルノイズといった感じで、むしろサウンドトラックのように機能している。男たちの全裸での諍いが静止画へと半ば暴力的に断絶されていくことになってセックスの>>続きを読む

Cold Meridian(原題)(2020年製作の映画)

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ASMRに関するイベントのために制作した作品らしいが、映画におけるASMRというのは非常に興味深いし、あまり探求されてない気がする。一瞬挿入されるデッサンのショットは元祖ASMR映画ともいうべきリヴェ>>続きを読む

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

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アケルマンの映画では、常に母との距離が一つのメインテーマに据えられている。スカイプを通じて母とビデオ通話する場面で、母親になんで撮っているのかと聞かれたアケルマンは「世界に距離なんてないってことを示す>>続きを読む

All the Vermeers in New York(原題)(1990年製作の映画)

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「彼は死んだ。永久に死んだのか?誰がそうと言い切れるだろうか。降霊術の実験も宗教のドグマと同様に魂が不滅であるとは証明できない。ただ言えるのは、この世では、あたかも前世に負わされた義務を背負って生まれ>>続きを読む

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

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『羅生門』と一応は同じ構造になっているが、3つの真実があるのではなく、各々の欲望に応じて再編された一つの真実の三つのパターンが並列させられている。「マルグリットの真実」の妥当性が高いと判断されるのは、>>続きを読む

ジョージア、白い橋のカフェで逢いましょう/見上げた空に何が見える?(2021年製作の映画)

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足元だけを捉えた男女2人の現実離れした出会い、超ロングショットでの2人の再会、話しかけてくる木、監視カメラ、雨どい、風、告げられる呪い、観客への奇妙な注意喚起、そして、2人の外見が朝になると変わってい>>続きを読む

時の解剖学(2021年製作の映画)

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近年、ある一つの空間において地層化された時間を主題に据えた映画は、メジャー、インディー問わず、物凄く増えている気がする。メジャーな例で言えば、クリストファー・ノーラン『インターステラー』、デヴィッド・>>続きを読む

アラビアン・ナイト 第1部 休息のない人々(2015年製作の映画)

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造船所の大量リストラとスズメバチによる養蜂への深刻な被害が結びつけられ、そうした問題を如何に語るかという監督自身の思索がそこに乗っかってくる。画面上の身体を欠いた匿名のヴォイスオーヴァーと語り手のヴォ>>続きを読む

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

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猿は視力が人間と同じくらいなのに対して、聴力は人間の7〜8倍あると言われているが、「Monos(猿)」と呼ばれる少年兵たちは映画冒頭、目隠しをしながら聴力だけを頼りにサッカーをしている。だが、主人公の>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

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久々のレビュー。最近、アリ・アスターはじめインディーホラー系の躍進が凄まじいが、映画そのものに対して自己言及的であるという点で、本作のロバート・エガースと、デヴィッド・ロウリー、デヴィッド・ロバート・>>続きを読む

アンドレイ・ルブリョフ 動乱そして沈黙(第一部) 試練そして復活(第二部)(1969年製作の映画)

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芸術vs権力、贖罪、水のモチーフといった主題が長編2作品目で既に確立されて、ここまでの大作として仕上がっているのは流石。初期の『惑星ソラリス』までの3作品の中では間違いなく1番の傑作と言っていいだろう>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

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タルコフスキーの映画の中で1番有名な気がするけど、1番の駄作という感じがしなくもない。ショット一つ一つに一貫性みたいなものがあまり感じられないし、蓮實重彦が「芸術家としては尊敬するけど映画以外の何かを>>続きを読む

煉獄エロイカ(1970年製作の映画)

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政治について語ってるようで、実際はほとんど私小説。岡田茉莉子演じる夏那子の旦那、力弥はレーザー研究の第一人者とされているが、力弥が語るレーザー研究はほとんど映画のアナロジー。しかも、「昔の夢は映画監督>>続きを読む

悲愁物語(1977年製作の映画)

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梶原一騎原作らしくスポ根もので始まったかと思ったらスポ根パートは一瞬で終わり、メロドラマになるかと思いきや、更に転調し、ホラーへ。『殺しの烙印』と『ツィゴイネルワイゼン』の間に挟まれた本作はやや印象が>>続きを読む

アクエリアス(2016年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『バクラウ』が全然近くの映画館で上映されないため、憂さ晴らし代わりにネトフリで駆け込み拝見。若干、冗長な感じは否めないが面白い。最後の最後で、身体=家=国家、ガン=白蟻=資本というメタファーへと一気に>>続きを読む

太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)

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モニカ・ヴィッティは正面から撮ると表情を欠いていて、ほとんど感情推移を辿ることができないが、一方背後から撮るとボリューミーな髪が後ろ姿とは思えないほど描線の過剰を齎らし不気味な印象を与える。楽しそうに>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

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正直、全くと言っていいほど面白くなかった。視線のアクションに関しては、ロベール・ブレッソンやホセ・ルイス・ゲリンの方が数段上手だし、自然光の美しいショットもテレンス・マリック以降使われすぎて食傷気味。>>続きを読む

砂丘(1970年製作の映画)

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いつものアントニオーニの作品なら、砂丘で情事に耽るシーンのあたりからサスペンスが常態化して、全部が宙に浮いたまま終わるんだろうけど、それが臨界点に達したポイントで銃撃戦や爆破によってスペクタクル化しな>>続きを読む

赤い砂漠(1964年製作の映画)

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1964年という時代に工場、汚水、有害ガスをカメラに収めてるにも関わらず、その風景が時代の社会問題の反映になるわけでも、ましてや人物たちの心象風景となるわけでもない。世界は「ただそこに」現前するだけで>>続きを読む

白夜(1957年製作の映画)

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マストロヤンニがどうしても、原作の純情な青年には見えなくて笑える。全編セット撮影による表現主義的な画面にネオレアリズモ的な部分が嵌入してくる様が面白いが、過渡期的な作品といった印象。マリア・シェルが下>>続きを読む

さすらい(1957年製作の映画)

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視点のすれ違いと一致といったメロドラマ的な装置が全然、カタルシスに昇華しない。ラストショットをイルマの顔のクロースアップでなく、背後からの俯瞰ロングショットで処理するあたりにアントニオーニの作家性が滲>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

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長門と岡田の結びつきを阻害するものがなんなのか全然わからない。一見、ベタベタなメロドラマのようで何かがおかしい。秋津温泉の外では時間が普通に進んでいるようなのに、秋津温泉だけあたかも魔境のように出来事>>続きを読む

血は渇いてる(1960年製作の映画)

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写真による自我の分裂、いつの間にか実体とすり替わり始める虚像といったテーマ設定は『女のみづうみ』へと受け継がれる。モノとヒトの位置が逆転するような地点が現れてくるあたりも既に吉田喜重の作家性が確立され>>続きを読む

女のみづうみ(1966年製作の映画)

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川端康成の忘られがちな傑作『みづうみ』の映画化ではあるが、冒涜的といっても過言ではないほどに脚色されている。とは言っても、この時期の吉田作品のなかでは恐らく最高傑作。内容面でも撮影面でも、大島渚『白昼>>続きを読む

エロス+虐殺(1970年製作の映画)

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この作品を吉田喜重の最高傑作とするのはあまりに無理があるでしょう。政治的なラディカルさが作品構造の必然性へと帰結する大島渚と違って、吉田喜重のいわゆる「日本近代批判三部作」は何を語ろうとしてるのかが見>>続きを読む

草叢/不倫団地 かなしいイロやねん(2005年製作の映画)

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映画冒頭、速水今日子と吉岡睦雄が2人で並んで歩く場面、一瞬、繋がっている2人の手のクローズアップがインサートされ、このカット繋ぎが後半の速水と伊藤猛の濡れ場で反復されるとき、画面内に映画性が横溢して、>>続きを読む

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