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アラビアン・ナイト 第1部 休息のない人々のshabadabaのレビュー・感想・評価

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造船所の大量リストラとスズメバチによる養蜂への深刻な被害が結びつけられ、そうした問題を如何に語るかという監督自身の思索がそこに乗っかってくる。画面上の身体を欠いた匿名のヴォイスオーヴァーと語り手のヴォイスオーヴァーとが絡み合い、いくつもの物語が千夜一夜物語の形式で語られていくのだが、個別の語りの中に、さらにいくつもの語りが入り込んでくるという、異常なまでに複雑な構造を持った映画になっている。マリアノ・ジナス『ラ・フロール 花』やラウル・ルイスの『ミステリーズ 運命のリスボン』とかと同様、マジックリアリズム的な実験精神があるけど、その一方で、現在直面している社会問題に対して映画が如何なる力を発揮できるかという問題にかなり自己反省的なあたりが特徴的だろうか。
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