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砂丘のshabadabaのレビュー・感想・評価

砂丘(1970年製作の映画)
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いつものアントニオーニの作品なら、砂丘で情事に耽るシーンのあたりからサスペンスが常態化して、全部が宙に浮いたまま終わるんだろうけど、それが臨界点に達したポイントで銃撃戦や爆破によってスペクタクル化しないといけないのが、良くも悪くもハリウッドの限界か。マーク・フレチェットが「この砂漠は自分に似ている」と言い、ダリア・ハルプリンがその砂漠を壊そうとするブルジョワ共を爆破するのを幻視するというのも、物語的な帰結としてわかりやすい。

砂丘のシーンでは、2人の情事が断片化され、分裂し増殖していくが、ここでの時空間との連結を失ったショットのイメージはさすがとしかいいようがない。ラストの爆破を様々なアングルから反復し、諸々の爆破へと分裂させ、潜在的なものへ留めたのが、アントニオーニなりのハリウッドへの抵抗だろう。

ピンク・フロイドの音楽の使い方は微妙。サントラかと思ったものが、砂漠に落ちているピアノの弦を少年が鳴らしていたものだったと発覚するあたりのシーンは面白いが、爆破シーンでの音楽は滑稽。ギルモアの主張が強い曲じゃなくて、ロジャーよりの曲を使用した方が良かったのでは。
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